Marc Guillermont – The Space Animals(2006)

僕は Ranjit Barot / Bada Boom(2010) の Tr.2 T = 0 という曲が大好きなのだが、始めて聴いたとき、特に曲中の g ソロに深い感動を覚えた。そのプレーヤーが Marc Guillermont だ。
早速CDを買おうとしたが、わが国では無名なためかほとんどメディアが流通しておらず、Amazon のD/L販売で本作を入手した次第。
参加メンバーは、Marc Guillermont(g) / Nicolas Viccaro(ds) / Andres Landon(b) の3名。我が国では聞かない名前ばかりだが、演奏を聴いた限り、皆さんかなりの腕前の持ち主だ。
Marc の g は、Allan Holdsworth や Scott Henderson の影響をモロに感じる。
音楽のスタイルとしては g 主体のハードフュージョンなのだが、欧州人らしくテクノ風味が入ったり、西アフリカ風味が加わったり、曲毎に色々と面白いよ。

Tr.2 Ory 107
この曲が僕のフェイバリットだ。
謎の曲名だが、ORY はパリのオルリー空港の識別コードなので、航空便名とかなのかね。
導入部の後、SFチックな音世界になり、アームを多用するウネウネの g ソロになる。そのサウンドは、Allan Holdsworth 的なのだが、出音について言えばむしろ Bill Connors (Step It, Double Up あたりの)を思い出す感じだ。

Tr.5 Parallels #1
この曲での g ソロの音は、フレージングも含めて Allan Holdsworth に似ている。そして b ソロのバッキングに回った後の音が面白い。ディレイとボリュームペダルでシンセパッドのような塗りつぶし系サウンドを出しているのだが、コード音をアームで大きく動かしたり、なかなか細かい仕事をしている。そんなところばかり聴いているから、折角の素敵なbソロが全然耳に入ってこないよ。

Tr.6 Phileas Fogg
曲名は、ジュール・ベルヌの小説「80日間世界一周」の主人公の名前のようだ。
導入部では、フレットレスとフレッテッドのbを重ね録りしている。
Marc はアコギ。終盤部では、bとユニゾンでスキャットも披露。これがちょっと Pat Metheny Group 風で素敵だ。

Tr.7 Mach Man
Tribal Tech 風のハードフュージョン。3人揃ってのキメの超高速ユニゾンが気持ち良い。
2:55頃から、g と b が細かく単音でリズムを刻むバッキングに回り、ds ソロが始まるのだが、これが特に Tribal Tech そっくりさん(例えば The Big Wave あたり)で面白い。

Tr.8 Parallels #2
これも#1と同様に、曲調が Allan Holdsworth リスペクト(真似とは言わない)だ。

Tr.9 Laila
美しい b のアルペジオソロ。この音はもしかすると両手タッピングじゃないかな。中盤、ハーモニクスを美しく鳴らして Jaco 風味。更に、リズムマシン風の パーカッションがバックに入り、Jaco の Okonkole y Trompa みたいな感じ。

Tr.10 Notekno
Zawinul 風の曲。西アフリカっぽいボイスをSE的に入れて民族音楽風味を醸し出しつつ、リズムトラックは機械的な Techno だ。何でタイトルが Notekno なんでしょ。
g の音は、もう何だか必然的に Zawinul Syndicate での Scott Henderson みたいな感じになっている。ここにはやはりこれで無いとね。フレーズの端々にBlues 風の節回しを入れたり、オクターブ上下の2音を高速に交互に弾いたり、 もう全く Scott のそっくりさんを上手にやっているよ。
終盤9:52頃から、アコーディオンあるいはハーモニカ的なニュアンスのシンセ音が鳴り始め、もう完全に Zawinul 的世界になって曲が終わる。

Tr.11 T.S.A.
頭文字だけだが、アルバムタイトルナンバーなのかな。スペーシーでかっこいい曲だ。g ソロの前後に入るシンセは、フレージングを聴く限り、ギターシンセなのかな。

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