Jean-Pierre Fouquey – Railroad(1986)

仏のピアニスト Jean-Pierre Fouquey が、米の Marc Johnson(b)、Peter Erskine(ds) という”Bass Desires” リズム隊を呼んで制作したアルバム。
当時の若かりし頃の僕は週末ともなると中古レコード屋まわりをしていて、米国組2名の名前買いでLPを買ってみてすっかり惚れこんだ。その後引っ越しを重ねる中でLPはうっかり処分してしまったのだが、嬉しいことに時を置いてCD化され再入手することができた。

Tr.1 Cruise
出だしの静かなピアノが旅情を呼ぶ。プラットフォームから汽車が走り出し、長旅(Cruise)が始まる。Peter Erskine のシンバルワークがすっかり汽車ポッポ(SL)で楽しい。小学生の頃の僕の住家は線路の近くにあり、毎日SLの音を聞いて育ったので、こういう汽車ポッポものにはつい涙腺が緩む。Pat Metheny Group の Last Train Home なんか、ほんとずるいよね~。絶対泣かせようとして書いてる。
なお、この曲は元のLPでは3曲目で、L’Etoile du Nord でクールに始まり Red Line を挟んで、この曲で旅情が最高潮に達するという流れだった。僕の頭の中ではすっかりLPの曲順がしみ込んでいるので、実はCDを聞くと少しだけ残念な気がする。

Tr.2 L’Etoile du Nord
北の星、つまり北極星だね。
Jean-Pierre Fouquey という人については本作しか知らないのだが、ピアニストとしてよりも作曲者として魅力を感じる。元はプログレバンド Magma のメンバーだったらしい。この曲もタイトル通りクールな印象。Marc Johnson の知的なbが良く合っている。途中から Peter Erskine が刻みを倍速にして、軽くラテンのリズムを入れ始めるのだが、これがとても効果的でかっこいい。

Tr.5 Chorale
Jazz というよりも、クラシックの小品にほんのりとポップス風味を加えた印象の美しい曲。

Tr.6 On The Right Track
前曲から一転してシリアスなピアノソロ。タイトルも何やらドラマを感じる。信じた道をまっすぐ行くのだ。(汽車は勝手に曲がれないんだけどね・・・)

Tr.8 Mobile
Peter Erskine のロックンロールっぽいリズムから始まる。明るい曲調のオシャレな曲。最初から最後まで Peter 大活躍。

Tr.9 Steel and Steam
あーもう、こういう曲名に弱いんだよね。
早朝のまだ寒い空気の中、身の回りに蒸気をまといながら、巨大な鉄の塊である蒸気機関車(SL)が汽笛をならして轟然と進むんだよ。
見事なピアノソロ。そして本アルバムはこの曲で終わり、汽車は走り去る。

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