Abstract Logix レーベルから、Ranjit Barot プロデュースによるインディアンフュージョントリオの作品だ。
一応書いておくと Makossa というのはアフリカのカメルーンで発展した音楽ジャンルの名称で、ヨーロッパ(フランスの影響が強い)、アフリカ、そしてラテンアメリカの様々な音楽が混じった、踊れるかっこいい音楽だ。同国出身の Manu Dibango が80年代後半に Soul Makossa という世界的ヒットを飛ばしてたちまち有名になった。
本作のメンバーは、b の Etienne Mbappe がカメルーン出身、ds の Ranjit Barot と electric mandolin の U. Shrinivas がインド出身ということで、まさに Bombay + Makossa のごった煮フュージョン。本作のプロデュース及び作曲は Ranjit Barot なので、彼が事実上のリーダーだ。
Tr.1 Pack Up Your Bags
Ranjit のコナコル(口パーカッション)と Etienne のつま弾きから始まり、Shrinivas が入ってくるともうインドの音だ。
この U. Shrinivas が演奏する electric mandolin だが、いわゆるマンドリン奏法(ピックを高速に動かしてトリルのように演奏する)を用いないので、音だけ聴いていると腰の無い、線が細いギターみたいだ。左手でグリッサンドを多用し、これがインドらしさを醸し出す。超絶技巧マンドリンと言われているようだが、比較対象がいないので良くわからない。
Tr.4 Longue Lami
ゆったりと空間が多いフォーマットで、3人が伸び伸びプレイする。
Ranjit が歌いながら ds を叩くのだが、見た目通り(トドだ)の野太い声で、美声ではないのだが、これがなかなかかっこいい。
Tr.5 Tempest
嵐の前の不穏な感じが続くが、中盤から盛り上がってくる。5:00から Etienne の美しい音のソロ。因みにこの人は両手に手袋をしてベースを演奏するという珍しいスタイルの方だ。どうやら汗から弦を守る対策らしいが、普通の人は手袋なんかしたらちゃんと音が出ない。よほど握力が強いのか。
Tr.7 Bombay Makossa
聴いたことがある曲と思ったら、Ranjit Barrot のソロ作品 Bada Boom(2010) に収録された Origin だ。あっちでは、Scott Kinsey(kbd) やら Wayne Krantz(g) やらいっぱい参加しているが、本作ではトリオ編成なので、その違いを聴き比べてみるのも面白いよ。
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