Virgil Donati – In This Life(2013)

オーストラリアのバカテクドラマー Virgil Donati のソロ3作目。第1作 “Stretch”、第2作 “Just Add Water” は既に入手難だが、本作は多少は売れたようで、Amazonのストリーミングでも入手可能だ。
全曲を通して主軸となるメンバーは Virgil Donati(ds)、Doug Shreeve(b)、Marco Sfogli(g)、Alex Argento(kbd) の4名。このうち Doug Shreeve は、Virgil のバンド On The Virg のDVD作品 “Anatomy of Life” に参加していた人。Marco Sfogli は、James Labrie のバンドで活躍した人で、本作のちょっと後に、Virgil とバンド(Icefish)を組んだりもしている。
主な ゲストメンバーは、Tom Kennedy(b)、Simon Hosford(g) 、Brett Garsed(g) 、Alex Machacek(g) 等といった方々。
全体を通して、一言で言えば Virgil Donati 丸出しだ。曲調はいわゆる Prog Metal だが、多少のJazz Fusion風味が入るのが僕には嬉しい。変拍子と転調がてんこ盛りのひたすら難しい曲を書き、両手両足が全部独立した生き物のように動いて、謎のリズムを叩き出す。コンポジションとプレイを高レベルで並立させているのが、Virgil の特徴と思う。
振り返って過去作から聴いてみたのだが、1999年の On The Virg から、Derek Sherinian と共に立ち上げた Planet X (2000~2007)を経て、途中ちょっと CAB のお手伝いとかも挟むけれど、2013年の本ソロ作まで、Virgil のやっている音楽は実に全然変わらない。進歩が無いということではなく、最初から自身のカラーが確立されており、他人の作品だろうが自分のソロだろうがあまり関係無く、Virgil 色が色濃く出る。但し例外もあって、渡辺香津美と Jeff Berlin と共にトリオで吹き込んだ Spinning Globe(2013) だけは、Virgil の存在感が薄い。薄いというか、別に Virgil じゃなくてもこれ誰でもいいんじゃない、というようなプレイをさせてしまっている。さすがに巨匠のアルバムでは、本人が自重したのか、 渡辺香津美が仕切り過ぎたのか。まあここで書くことじゃないな。

Tr.1 Rhythm Zero
雄大なイントロから始まる。テーマを奏でる Marco (g) のレガートが美しい。いつもの Virgil らしい万華鏡のような魔術的な構成の曲だ。雄大なゆっくりとうねるリズムAと、細かく刻むリズムBが並行してポリリズム的に進み、どちらがメインになるかは曲中で入れ替わる。2つのリズムが並行しているときに、Virgil のBDやハイハットはリズムA(ゆったり)を叩き、両手のタム、SD、シンバルではリズムB(細かい)を刻んでいたりする。でもこのリズムBが変拍子だったり、途中で拍子が変わったりするんだよ。一体どうやったら、こんな難しい曲を合わせることができるんだろうか。プロって凄い。

Tr.2 Eleven
タイトルが Eleven なので、どこかが 11/16 になっているのかなと頑張って聴くが、凄まじく変化するので拍子を聴きとれない。先生、イジワルはやめてください。

Tr.3 In This Life
タイトルナンバーだ。だからといって、ポップになったり、売れ筋を狙ったり等は全然無し。Marco(g) が滑らかで美しいソロを弾いている。音色が Brett Garsed にちょっと似ているかな。その Brett もゲスト参加しているのだが、クレジットは Unison Melodies となっており、g でテーマっぽいフレーズを弾いているところだけのようだ。

Tr.5 Paradise Lost
Derek は参加していないけど Planet X 的なファンタジックな曲。ハープみたいなシンセ、cello(ゲストのArtyom Manukyan)、ストリングスが美しい。4:38からの g ソロはゲスト参加の Alex Machacek。この感じなら、映画音楽にも使えそうだ。

Tr.6 The Fall of Dreams
今度はゲスト Paul Sherman の Oboe、English Horn が楽しい。これも映画音楽に使える感じだ。Virgil が変態変拍子を少し我慢すると、一般人が聴きやすい音楽になるのね。

Tr.10 The Empire
リズムのひねくれ具合とkbdの音色が、ちょっと On The Virg の Alien Hip-hop を思い出させる曲。4:18から、Marco が素晴らしい g ソロをたっぷり聴かせてくれる。

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