Scott Kinsey – Kinesthetics(2006)

Joe Zawinul の最後の弟子、Tribal Tech の影の番長、ボコーダーを操る謎の怪人 Scott Kinsey の初ソロ作。レーベルは Abstract Logix だ。
誤解を恐れずに極限まで単純化して言うと、彼は二代目を襲名した Zawinul である。なので、Joe Zawinul のような曲を書き、Joe Zawinul のようにプレイする。ボコーダーは、二代目 Zawinul としての彼のアイコンであり、言わば聖遺物なのだ。(ほんとかな)
まあ一つだけほんとのことを書くと、本作の欧州版リリースでは、Executive Producer として Joe Zawinul がクレジットされているよ。
参加メンバーは豪華で、曲毎に入れ替わるが、固定メンバーは Scott Kinsey(kbd) / Steve Tavaglione(sax, fl, cl, EWI) の2名だけ。Steve Tavaglione は、「あの」とか「伝説の」とか前置きしたくなる Caldera のオリジナルメンバーだ。
b、g、ds、perc は入れ替わるので、曲毎の紹介の方で触れる。

Tr.1 Kinesthetics
アルバムタイトル曲。 Tribal Tech 組の Kirt Covington(ds)、Brad Dutz(perc) と、あと知らない人だが Paul Shihadeh(b) が参加。
Kinesthetics = Kin(sey) + Esthetics(美学) なんだろうけど、両端を取ると Kinetics(力学)も含まれているので、ちょっと面白い造語だ。
曲調はまったりしていて、手に汗握ったりは全然しない。心地良い Kinsey 節(ほぼ Zawinul)に体をまかせて、だらだら聴くのが良し。

Tr.2 This Is That
Weather Report に This Is This ってのがあったが、こっちはあっち(That)だ。それってどっち?
ゲストは、Tribal Tech 組の Kirt Covington(ds) 、Gary Willis(b) と、Weather Report / The Zawinul Syndicate 等の本家筋で活躍の Alex Acuna(perc)、そして Scott とは Human Element で一緒に活動している Arto Tuncboyacian(perc) 等が参加。Arto は、Marc Johnson の Right Brain Patrol とか、Al DiMeola の World Simphonia とか、ちょっとエキゾチックな World Music 風味が欲しいときにお呼ばれする売れっ子打楽器奏者なんだが、彼の名字を何と発音すれば良いのか未だにわからない。(僕はタンクボヤチアンと呼んでいるが、Wikipediaではツンチボヤジヤンとなっている)
これも曲調はまったり。その中で Gary の b が細かく仕事をしていて面白い。2:05あたりで、Steve が Cleopatra’s Dream の一節をちょっとだけ吹いて遊んでいるよ。

Tr.4 The Combat Zone
勇ましい曲名だが、曲調は相変わらずまったりだ。
ゲストは、既紹介の Brad Dutz(perc)と、Cyril Atef(ds)、Jimmy Earl(b)、Scott Henderson(g)、Jinshi Ozaki(g)、Tim Hagans(tp) という顔ぶれ。
この Jinshi Ozaki (小崎仁司)というギタリストを不勉強で知らなかったのだけれど、LAで長いこと活躍している人で、松居慶子のバンドでやっているらしい。アコギによる演奏が、コラージュ的に使われている。

Tr.5 Quartet
Vinnie Colaiuta(ds) と、Robert Hurst III(b)が入って4名でカルテット。
今更ながら、やっぱり Vinnie が入ると締まるな。Tr.4までずっとまったりが続いていたが、ここで少しスピードアップだ。割と普通のJazzなので、怪人サウンドが苦手の人も安心して聴けるよ。

Tr.6 Wishing Tree
主メンバー2名だけで演奏。これがとても良い。映画音楽のようにイメージを想起する美しい曲。Steve は EWI(AKAIが作ったウィンドシンセ)も吹いている。

Tr.10 Under Radar
Kirt(ds)、Brad(perc) に加えて、重鎮 Abraham Laboriel(b)、あと Armand Sabal-Lecco(b)、Satnam Ramgotra(perc) が参加。
曲調は、異世界民族音楽ちゃかぽこまったりに戻る。2代目Zawinul襲名したからには、経典のようにこれを続けないといけないよね。

Tr.11 Shinjuku
さて、「新宿」ですぜ。何か良い思い出があったのかね。
Kirt(ds)に加えて Ronald Bruner Jr.(ds) と Jimmy Earl(b)、そしてお待ちかね Scott Henderson(g) がソロを弾いているよ。

Tr.12 One for Jinshi
曲名は恐らく Jinshi Ozaki(小崎仁司)を指しているのだと思うのだが、演奏に彼は参加していない。
Kirt(ds)、Tim(tp)、Paul(b)、そしてラスボスとして Michael Landau(g) が登場だ。 小崎氏のインタビュー記事に、ある日ライブをやっていたら超売れっ子の Michael Landau が聴きに来てくれて、演奏後に飲みに行って朝までとても楽しかったとか書いていたので、なんかそういう人脈で皆さん繋がっているのだね。

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