The Flower Kings – Waiting for Miracles(2019)

The Flower Kings の新作。
来年早々、来日公演があるので、毎日これを聴いて予習する日々だ。
バンド名義としては Desolation Rose(2013) 以来の作品となる。2018年に、Roine Stolt’s The Flower Kings 名義の Manifesto of an Alchemist をリリースして、世の中のファンを混乱させてくれたが、あれはあくまでも Roine Stolt のソロプロジェクトだ。(でも本作とほぼ同じメンバー・・・)
さて本作だが、彼らの作品だから当然の如く極めて高水準の仕上がりだ。サウンド的には少し先祖返りを狙ったフシがあり、昔からのファンほど納得する仕上がりだろう。でもね、ここにはもう Tomas Bodin(kbd) はいないのだよ。耳鳴りが悪化して脱退したとか、様々な噂は流れてくるのだが、真相はどうなんだろう。僕にとって、TFK は、RoineとTomasの2つの個性がぶつかり合うところに面白みがあったので、本作を聴く前にはかなりの躊躇いがあったのだ。
さて、そのTomasの抜けた穴を埋める新キーボーディスト Zach Kamins だが、物凄い大健闘、大活躍をしている。彼は前述の Manifesto of an Alchemist にも一部の曲にゲスト参加していたが、今回は固定メンバーとして当然全曲参加。Mellotron や Minimoog 等のビンテージ楽器を駆使した Tomas Bodin 的な夢見心地なサウンドから、クラシカルなピアノまで縦横無尽に弾きこなし、作曲にも貢献。僕に取っては少し寂しいことなのだが、抜けた穴をもう十分に埋めてくれている感じだ。
もう一人の新メンバー Mirko DeMaio(ds) は、シュアなプレイぶりだが、あまり目立たないかな。 Manifesto of an Alchemist では、Marco Minnemann だったからなあ。
この2名の新顔に、Roine Stolt(g, vo) / Jonas Reingold(b) / Hasse Fröberg(vo) の重鎮3名を加えた5名が現在のTFKのメンバーということになる。なお、プロデュース業等多方面で華々しく活躍中の Jonas のスケジュールがなかなか合わなかったらしく、(今回も)助っ人として旧メンバーの Michael Stolt(b) が一部の曲に参加しているのが嬉しい。彼は Roine の弟だ。

Tr.1 House Of Cards
タイトルは、ジャケットで象が片足で乗っている「トランプの家」のことだ。本作は社会不安がテーマで、特にアメリカを心配している模様。なるほど、あの強大な大国が「トランプ」で支えられているのは怖いよね。
(一応真面目にお断りしておくと、英語の Trump には切り札の意味はあるが、日本で言うところのトランプカードの意味は無い。曲名の Cards あるいは丁寧に言えば Playing Cards というのが、日本で言うところのトランプのことだ。なのでここで僕が書いているトランプの家云々のゴタクは、僕が勝手に書いて喜んでいる日本人ローカルの皮肉というかネタであり、作曲者の意図とは無関係だ。なので突っ込まないでね。)
作曲は新メンバーの Zach Kamins だ。Roine(g) と Michael(b) が重ねて音を入れているが、曲の大部分は Zach のプレイだ。凄いね。

Tr.2 Black Flag
TFK の初期の頃の雰囲気に似ている。懐かしいフレーズが時々出てくるのだが、これは多分意図的にやっているのだろう。Manifesto of an Alchemist は、Roine Stolt がナンチャッテTFKをやるという誠にややこしいアルバム(90年代に書き溜めたアイデアを使ったので音が先祖帰りしたらしい)だったが、本作はそれを延長して新TFKが昔ながらのTFKをやるという何だかわからない世界に突入している感がある。
この曲でも b は Michael が弾いている。良く伸びるいい音だ。(普通のエレキbと、moog b の両方を使っている模様)

Tr.3 Miracles for Amarica
10分超えの大曲・・・でも無いか、彼らの場合は。平気で曲長25分とかやるからね。
ここでようやく Jonas Reingold(b) 先生が登場する。やっぱり上手いし、音が際立つね。

Tr.4 Vertigo
Jonas の fletless b が素晴らしい。その上で飛び回る Zach の Minimoog も素晴らしい。Roine の g も Hasse の vo も、全てが懐かしいTFKの音だ。
でもひねくれて考えると、これは名料理人 Roine Stolt によるレシピ「TFKの作り方」に忠実に作っている感もあって、何か一つ、いつもと違うスパイスを期待してしまうのだけど、これは無い物ねだりなんだろうか。

Tr.6 Ascending To The Stars
Zach の作品。Mellotronのストリングスの上に、更にゲストでバイオリンとビオラが入る。うん、この曲はいつものTFKとは一味違うな。Zach の活躍に期待しよう。

Tr.8 The Rebel Circus
新ドラマー Mirko DeMaio と Roine の共作。うーん、これは Roine の色が出過ぎだな。もっと Mirko に任せてみれば良いのに。
Zach が何と YAMAHA GX-1 まで投入している。当時でも700万円くらいしたはずだが、今となっては超ビンテージ機だから、一体いくらするんだろ。

Disk2-Tr.04 We Were Always Here
これぞTFK、ポジティブで素敵な曲だ。
この音で、このムードで、何故ここに Tomas がいないのかと思ってしまうよ。

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