Brand X – Livevox: The Official Bootleg 1976 – 1979 (2020)

アルバム・タイトル通り、英国の Jazz Rock バンド Brand X の第1作(Unorthodox Behaviour, 1976)から第5作(Product, 1979)あたりの期間に行われたライブ音源を集めた6枚組 Box Set。発売したてほやほやをレビュー。

Disc1だけ、’76 London と’78 Chicago が合盛り。以下、Disc2 ’77 NY、Disc3 ’77 NY、Disc4 ’77 SF、Disc5 ’78 Gothenburg、Disc6 ’79 LA での収録。
参加メンバーもそれぞれ異なる。収録年月順に表にしてみた。(力作・・・)

Disc#DatePlaceKbdGBDsPerc
Disc176/Sep.LondonRobim LumleyJohn GoodsallPercy JonesPhil Collins
Disc277/Sep.NYRobim LumleyJohn GoodsallPercy JonesKenwood DennardMorris Pert
Disc377/Nov.NYRobim LumleyJohn GoodsallPercy JonesKenwood DennardMorris Pert
Disc578/Aug.GotenburgPeter RobinsonMike MillerPercy JonesChuck BurgiMorris Pert
Disc178/Nov.ChicagoPeter RobinsonMike MillerPercy JonesMike ClarkMorris Pert
Disc478/Nov.SFPeter RobinsonMike MillerPercy JonesMike ClarkMorris Pert
Disc679/Sep.LARobim Lumley, Peter RobinsonJohn GoodsallPercy JonesPhil Collins

個人的には、Percy Jones と John Goodsall の両名が揃っていてくれないと、今ひとつ Brand X らしくないようには思うので、’78組はちょっとぐっとこない。あと、ドラマーの変遷も、通して聴いてみると面白いぞ。やはり Phil は抜群に上手いね。

それから、さすがに Official Bootleg と名乗るだけあって、音質はなかなかグッド。既に Bootleg でリリース済の音源もあるのだが、音質が良くなっている。

Disc1 Tr.3 Improvisation(Aka Tito’s Leg)
スタジオ未収録の、というよりタイトル通り即興のようだが、Livestock(1977) の Tr.2 “-ish” と同じフレーズが出てきたりして面白い。’77/9 の Ronnie Scott’s なので、Livestock と同時期・同場所。

Disc2 Tr.2 Why Should I Lend You Mine
第2作 Moroccan Roll(1977) の名曲を、ドラムだけ Phil から Kenwood にチェンジしてプレイ。’77/9 NYでの録音。
Kenwood も Rock、Jazz 両方のフィールドで叩ける人で、ピアノも上手、作曲もOKのマルチな才人。若い頃は、ドラムを叩きながら後ろ手でキーボードを弾く曲芸とか見せてくれたな。まあ Phil と比べると、やや叩きすぎなところも感じるが、元気があってよろしい。

Disc2 Tr.4 Nightmare Patrol
Livestock(1977) 収録と同メンバー、同時期のプレイ。Livestock は、静謐さと溢れる緊張感の対比が凄まじかったが、こっちは演奏がもう少しラフでエモーショナル。

Disc3 Tr.7 Deadly Nightshade
このBox Setには、この Deadly Nightshade が何と3バージョンも入っている。
1つ目がこの’77/9 NYの2nd Set、2つ目が ’77/11 SF、3つ目が’78/8の収録。つまり、3つ目の時点ではこの曲の作曲者である Morris Pert と Percy Jones 以外は全取っ替え。
Masques(1978) を吹き込んだ際のメンバーは、Peter Robinson(kbd) / John Goodsall(g) / Percy Jones(b) / Morris Pert(perc) / Chuck Burgi(ds) だから、どのバージョンもスタジオ盤と微妙に面子が異なる。
じっくり聴いて、違いを聴き分けるのは楽しいぞ。

Disc6 Tr.2 Dance of the Illegal Aliens
個人的にはこのDisc6が一番の聴きどころかな。’79/9のLA収録。
実はこのときのLive音源は、”Live at the Roxy L.A. 1979″ という Bootleg で既に入手済なのだけど、本作では音がかなり良くなっているよ。
さてこの曲、同年リリースされた Product(1979) の2曲目だが、この Product は2つのチーム
A: John Giblin(b) / Phil Collins(ds) / John Goodsall(g) / Robin Lumley(kbd)
B: Percy Jones(b) / Mike Clarke(ds) / John Goodsall(g) /Peter Robinson(kbd) / Morris Pert(perc)
が曲毎に入れ替わって演奏している。(要するに収録時期が異なる)
Product における Dance of the Illegal Aliens は、上記のBチームが演奏しているのだが、本作のLiveでは kbd がPeter と Robin の2人参加、dsは Phil 、Morris は不参加、と何というか丁度過渡期の顔ぶれになっているのが面白い。

Disc6 Tr.3 Don’t Make Waves
これも同じメンバー。Produtct では、前述のAチームが収録している。
この頃の Pop な Brand X には、やっぱり Phil の vo が欠かせない。

Disc6 Tr.5 …And So To F…
同じく Product から。Phil が書いた血湧き肉躍る名曲。
Product では、Aチーム+Percy という変則メンバーで演奏しているが、本作のLiveでは、そこから John Giblin が抜けて b は1枚に、その代わりに Peter Robinson が加わって kbd が2枚になった面子。ああややっこしい。
Phil が歌いながら叩くのがかっこよろしい。

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