Sweden の”青春系” Prog Rock バンド Moon Safari の新譜。
何と前スタジオ作 Himlabacken Vol. 1(2013) から10年後のリリースだ。
2014年には高品質なライブアルバム Live in Mexico がリリースされてはいるが、それでも9年ぶり。
インタビュー記事によれば、みんな大人になって子供も生まれ(メンバー6名で合計16名も子供がいるんですと!)、家族とともに過ごす時間が何より貴重になったため、なかなか音楽活動に時間がさけなかったんだよ~とのこと。
何だかまさに北欧っぽくて素敵だね。
さて新譜の特徴は前述のインタビュー記事でメンバーが語っている通り、ドラマー交代に合わせてサウンドの低音域を強調し、曲調も少し攻撃的で暗く(当社比)したとのこと。
以前からのファンにとっては少し「普通のプログレメタルっぽく」なってしまったきらいはあるが、彼らの最大の特徴かつチャームポイントであるところの、ハッピーでドリーミーなコーラスとキラキラしたポジティブな曲調は健在なので、安心して聴いていただきたい。
本作のメンバーは、
Mikael Israelsson(ds) [新規]
Petter Sandström(l/b vo, ac. g)
Simon Åkesson(l/b vo, p, org, moog)
Pontus Åkesson(l/b vo, el./ac. g)
Sebastian Åkesson(b vo, keys, perc)
Johan Westerlund(l/b vo, b)
の6名。
Tr.8だけゲストとして Jamison Smeltz(sax) が参加。
Tr.1 198X(Heaven Hill)
アルバム最初の曲は、「お帰り~」てな歌詞の高らかなる復活宣言。
明るく元気良くポジティブに。
ちょっと Roine Stolt の The Flower King を思い出したり。
旧作に比べて、Pontus のギターがかなり前面に(派手目に)出ている印象。もちろんすごく上手い。
Tr.2 Between the Devil and Me
さてさて、ちょっと暗め(当社比)の曲調。
一種の業界標準モデルであるところのDT(’90年代)やTFK(2000年代)な感じ。
つまりちょっと古臭い。
本作リリース前に先行シングルリリースされた曲。
ドラマチックな曲調とゴージャスなコーラスの相性良し。
でもリズム展開や曲のフックが少し単調。
この路線で行くのなら、もう一ひねり欲しいところだ。
Tr.3 Emma, Come On
元気いっぱい、明るくポジティブな、彼ららしい曲。
この曲も先行シングルリリース2発目の曲。
Tr.4 A Lifetime to Learn How to Love
あー良い曲だ。
そして曲名と歌詞にぐっと来る。
おとーちゃん達もすっかり成長したんだね~。
曲調は、Lover’s End あたりに近い。
Tr.7 Teen Angel Meets the Apocalypse
さてさて本作最大の問題作。
20分超のゴシックシンフォメタル(?)な大作だ。
すれっからしのメタラーが本気で聴くとアレ?ってなる箇所もあるかもだが、この10年間君たちこういうのをやりたかったんだね~。
でも以前からのファンの方々は、安心して聴いていただきたい。
導入部から5分くらいはちょっとゴシック(当社比)だが、そこからハートウォーミングな彼らの世界に戻ってきて、いつもの感じになっていくから。
全体が4パートに別れている大作なんだが、特にPart3の「ロンドン橋落ちる」がなかなかアイデア勝負で楽しい。
”Datta Datta”のコーラスは、ちょっと Yes (のSiberian Khatru)を思い出したり。
Tr.9 Epilog
最後は Swedish の歌詞で歌われる。
英訳して見ながら聴いていたら、彼らの決意みたいなものが伝わってきた。
アルバム全体を通して歌われる自分達の成長、そして素敵な音楽をこの地上に届ける使命感みたいな心情。
この10年間で彼らは更に深みを増し、素晴らしい音楽家として成長したのだなあ。
来年5月には来日公演が予定されているので、楽しみだ。
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