Jeff Berlin – Taking Notes(1997)

Jeff Berlin 温故知新シリーズ第3弾。ソロ第3作目。
ソロ第2作目の Pump It! (1986) から10年ちょい経過しているが、その間 Jeff は何をしていたかと言うと、Players Live リリース、渡辺香津美の Spice of Life 第1作、第2作、ちょっと間が空いて A.B.W.H. (Anderson, Bruford, Wakeman, Howe) への助っ人参加(Tony Levin の代役)、Ritchie Kotzen の Fusion 作品(The Inner Galactic Fusion Experience)への参加、といった感じで、プログレ界とFusion界をまたにかけて引く手あまたの活躍。
そして久々のソロをリリースしたのが本作なのだが、何とびっくり Jazz なのね。
元々 Jeff Berlin は Berklee 音大で Pat Metheny や Mike Stern 等と同級であり、彼らと夜な夜なセッションを繰り返して切磋琢磨していたというルーツを持つ。若いときにプログレ界、Fusion 界で名前が売れたわけだが、90年代になって Jeff の心中で Jazz への帰属意識が強くなったのか、本作以降のソロ作は次第にメインストリーム Jazz 色を強めていく。後日のインタビューで語っていたが、Fusion にはかなり嫌気がさしたようだ。明確な Rock バンドか、Jazz バンドの方が皆しっかり気持ちを込めてやっていて良いのだと。

本作はこのような Jeff の方向性の転換点に丁度あたり、共演ミュージシャンの選択を見ても色々と興味深いものがある。
Jeff Berlin(b)、Cliff Almond(ds)、Scott Kinsey(kbd)、Alex Acuna(perc) の4名が基本メンバー。
一部の曲ではゲスト g が参加するが、基本はギターレスなのが面白い。
一部の曲でホーンセクションもゲスト参加。
まず Cliff Almond であるが、MJQ、Michel Camilo、矢野顕子等と錚々たる方々との共演歴を誇るテクニカルな Jazz ドラマー。
Scott Kinsey は僕のBLOGではお馴染みの怪人。Joe Zawinul の後継者(?)であり、テクニカルフュージョン界の雄 Tribal Tech を差配する影の大番頭。
Alex Acuna は長い経歴を誇るラテンパーカッショニストで、Weather Report での活躍が有名。
さて、Scott Kinsey と Alex Acuna の二人が参加していることから、うっすらと Weather の香りというか、Jeff の Jaco への意識が感じられないかな?
2人はほぼ同世代(Jaco の方が2歳年上)で、Jeff は Jaco の模倣者と呼ばれることが嫌いなこともあり、意地になって(?)フレッテッドベースに固執しているが、裏を返せば Jaco への強い対抗意識と、もしかすると憧れもあったのじゃないかなと個人的に何の根拠も無く思っている。

Tr.1 Stung, McCartney’d, & Bruced
さあ Jazz に回帰するぞ!と気合を入れて始めるかと思えば、この人を食ったようなタイトルはなんざんしょ。おわかりだとは思うが、Sting、Paul McCartney、Jack Bruce というベースの偉人(?)から影響を受けたという意味でしょう。(過去形ではなく受動態ね)
え? Jaco への対抗心はいずこへ?
ゲスト g として Captain Billy Lang、ホーンセクションとして Rob Lockart(ss, as)、David Stout(tb) 、Howie Shear(tp)、Jose Soplar(tp) が参加。このホーンがかっこいいよ。

Tr.2 Tears in Heaven
ご存知 Elic Clapton が亡くなったご愛息に捧げた名曲。
バックに Cliff と Alex がブラシ主体で加わっているが、ほぼ超絶技巧ベースソロ。

Tr.3 Johnny Joker
ようやく Jazz になってきたよ。
作曲は Jeff Berlin だけど、初っ端から Scott のキーボードが香る Weather っぽい曲。
2:12頃から Jeff の見事な Jazz 王道的ソロ。技巧のみならず、フレーズのアイデアや音色のコントロール等素晴らしい。

Tr.5 Scarecrow Soup
まったり Jazz が続いたところで、この曲はちょっとフュージョン風味。
いきなり g みたいな轟音で開始、Tribal Tech 調のキーボード。
Scott Kinsey の存在感強め。
曲が進行するに従って次第に Weather 色を強めていき、ちょぴり Mr.Gone の Young and Fine みたいな風味も感じる素敵なムードになっていく。

Tr.7 Clinton Country
超絶技巧ベースソロで、アメリカ国家を演奏。
Dixie の路線継承。
アルペジオもコード弾きも何もかも、信じがたいレベルでうまい。弦が4本しか無いとは思えず。

Tr.8 Vicky Samba
この曲が本作での一番のオススメ。ノリノリのラテンJazz。
やっぱり Cliff Almond はこういう曲が一番イキイキする。Dave Weckl の推薦で Michel Camilo の右腕を努めた人だからね。
2:17頃から、爽やかなサンバをバックにとてもとても美しいベースソロ。もう泣けてくる。そして Scott の怪人らしからぬ爽やかなシンセソロ。

Tr.9 Imagine
このまま Jazz 王道を進むのかと思いきや、レノンの名曲をしっとりと。
バックは Clare Fischer(kbd) 、ソロ1作めから本作まで3作連続参加の皆勤賞。
名前は女性っぽいけど男性(おじいちゃん)で、キャリアが超長いベテラン Jazz マン。

Tr.10 Chasin’ Jason
アルバム最後は Tr.1 と同じメンバーで、恐らく当時としても少し懐古的な Scott 風味の Weather っぽい Jazz 。
Captain Billy Lang のディストーション g は、フュージョンというより完全に Rock 風味でむしろ面白い。
時々重低音ベースが鳴っているが、クレジットによればシンセベースではなくディストーションをかけたベースみたい。これが何だか Zawinul っぽいんだよね。

ということで、何だか Jeff Berlin が自身の音楽歴を俯瞰して、Pop や Rock や Jazz をざっと気の向くままにやってみましたよ、ってなアルバム。
その Jazz は、やはりと言うかそこはかとなく Weather 風味だ。
この後 Jazz 方面まっしぐらに進んでいくのだけど、本作時点では色々とごちゃごちゃ混在していて、聴く方としてはそこがむしろ面白いという作品のご紹介でした。

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