Tony Williams Lifetime – Believe It(1975)

何故に今、Believe It をレビューするのかと言えば、それはリリース年別インデックスの1975年を埋めるため。この年は名盤が多くて選ぶのに苦労したけど、まずはお気に入りの本作から。

Miles Davis のところで大活躍した若手(当時)バリバリの天才ドラマー Tony Williams が、John McLaughlin 等と組んだ(旧)Lifetime の次に立ち上げたのが、俗に New Lifetime とも呼ばれるこのバンド。
ロック大好きな Tony が英国から呼んできたギタリストが Allan Holdsworth 先生だ。
そしてキーボーダーは Allan Pasqua 、ベースは Tony Newton 、以上4名(Allan x 2 + Tony x 2 と名前がややこしい)によるかなりロック寄りの Jazz Rock バンドが、この Tony Williams Lifetime であり、本作がそのデビュー作。

Tony のドラミングは、元祖千手観音系の手数の多いテクニカルなプレイが特徴だが、少しドタドタ感が強いというか、しなやかさが少ないきらいがあると僕は感じている。元々はメインストリーム Jazz がフィールドの人だとは思うが、本作のようなロックっぽい演奏の方がむしろしっくりくるんじゃないかな。
Allan Holdsworth 先生は、本作当時はまだソロデビュー前で Tempest とか Soft Machine とかでやっていた頃。本作の翌年にソロ作 Velvet Darkness を、本バンドで共演した Allan Pasqua を引き込んでリリースした。本作では、後年の先生のプレイを特徴付けるディレイと右手を駆使した幻想的コードソロや、謎のテンションだらけのウルトラスムース不思議ちゃんなレガートソロ等はまだあまり出てこなくて、如何にも当時の英国 の Jazz Rock らしいディストーションのかかったロングサスティーンサウンドによるシンプルな(当社比)フレーズが中心。使用機材も確か Gibson SG あたりだったと思う。後年の中域重視のオーボエやバイオリン的サウンドではなくて、ペナっとしたロック的サウンドだ。
Allan Pasqua はこの後 Jazz Rock/Fusion 界の重要ミュージシャンとなっていくわけだが、この頃はまだまだ知る人ぞ知る存在。作曲能力も素晴らしく、彼が書いた Tr.3 Proto-Cosmos は今でも多くの若手ミュージシャンが挑戦する名曲。
Tony Newton のことは良く知らないので割愛。Soul/Funk 畑の人らしい。

Tr.1 Snake Oil
ベースの Tony Newton の曲。オートワウを使ったファンキーなベース音から始まる。
シンプルなリフの繰り返しなんだけど、この Allan 先生の音が実に滋味深い。高音の掠れたようなディストーションと、オクターブ下がるときの絶妙なビブラート。
Tony Wiiliams のドラミングは、まさにドタドタ。同時代の例えば Narada 先生あたりと比べて聴けば書いている意味が伝わるかと思うが、すかした軽妙なファンキーさが少ないので、Fusion というよりもやはり Jazz 風味の Rock な感じ。
因みに曲名の Snake Oil とは、ニセ薬とかほら話とかの意味。日本で言えばガマの油かな。

Tr.2 Fred
Allan Holdsworth 先生の作品。先生の書いた曲にしては珍しく、普通にポップで爽やか。
Allan Pasqua がエレピソロで大活躍。
Allan Holdsworth 先生のソロは、後年の独特の不思議スケールではなく普通のロック的なスケールを弾いているが、超高速速弾きはやはり天下一品。当時は Etheridge や Goodsall と並んで、英国3大キ○ガイ速弾きギタリストの座を争っていた。

Tr.3 Proto-Cosmos
Allan Pasqua が書いた名曲。
ある意味この曲は Allan Holdsworth 先生の代名詞になっている感もあるね。
印象的なキメのユニゾンフレーズをブリッジにして、各自のソロをまわしていく、まあ単純な曲構造なのだが、その分自由に各自の工夫を入れやすい。

Tr.5 Wildlife
Tony Williams の作品。
この人の書く曲って、メロディアスでリリカルなものが結構多い。この曲も、必殺キメキメ Jazz Rock ナンバーが並ぶ中で、少し異彩を放つ穏やかで美しい曲だ。
美しいテーマフレーズを二人の Allan がユニゾンで弾くのだが、その後ろで Tony のドラミングがドタドタしいのがご愛嬌だけど楽しい。

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