Derek Sherinian – Planet X(1999)

Derek Sherinian のソロ第一作。
Derek は、脱退した Kevin Moore の後任として Dream Theater に参加し、A Change of Seasons(1995) 、Falling Into Infinity(1997) の2枚を残して自身も脱退。その後にリリースしたのが本作ということになる。
DT脱退の理由を僕は知らないが、まあ音楽性(路線)の違いなのかなと感じている。例えば Falling Into Infinity の Tr.7 Lines in the Sand あたりを Derek は気に入っている模様で、後の PSMS (Portnoy, Sheehan, MacAlpine, Sherinian) でもプレイしているが、Derek のソロ諸作に繋がるアイデアが随所に散りばめられたプログレっぽい名曲だ。一方で、彼が脱退した後の DT の曲はギター中心のメタルになっていく。僕にとってDTは Kevin 在籍時が一番好きで、その次が Derek 在籍時、その後 Jordan Rudess が参加してからはDTをほぼ聴かなくなった。恐らく、プログレ感というか非ロック感というか、そういう成分が多くないと僕にはぐっと来ない、そういうことなのかなと思っている。Kevin Moore が最も非ロックな人で、Derek Sherinian はプログレ感多めの人。John Petrucci が牽引する現在のDTにはプログレ感はあまり無い。
さて、DTの話が長くなったので、本作に戻る。参加メンバーが凄い。Derek Sherinian(kbd) / Brett Garsed(g) / Virgil Donati(ds) / Tony Franklin(b) の4名。作曲はTr.10以外の全てを Derek と Virgil が書いている。(Tr.10 は Brett 作曲)
Brett Garsed はオーストラリアンのバカテクギタリスト。ピック弾きと指弾きを併用する(親指と人差し指でつまんだピックで弾いた後、中指と薬指で他の弦を弾いたりする)流麗な高速フレーズが特徴。単なる速弾きではなくて、フレージングと音色に得も言われぬ色気がある。
Virgil Donati もオーストラリアンのバカテクドラマー。変拍子という言葉が恥ずかしくなって逃げ出す程の難解で複雑なリズムを平気な顔で叩き出し、作曲もオーケストレーションも超一流。Mike Portnoy がDTから脱退した後に開催された後任ドラマーを決める公開オーディションに応募して惜しくも敗退したエピソードは有名だ。(選ばれたのが Mike Mangini)
Tony Franklin は、この後ずーっと Derek の諸作に参加することになる凄腕ベーシスト。特にこの人はフレットレス使いで有名。またこの人は Fender (ギター、ベース、アンプの老舗メーカー)の社員(営業職)なんだよ。Fender には彼の名前を冠したモデルがあって人気商品だったりする。
本作全体の総評を先に書くと、未来感溢れるプログレフュージョンメタルってな感じだ。Derek はこの後も精力的にソロを発表し続けるが、それと並行して本作のタイトルを冠したプロジェクトである Planet X を始動する。その作品群も抜群に素晴らしいのでご興味ある方は是非。

Tr.1-3 Atlantis part1-3
のっけから3部構成の大組曲。
Mike Portnoy が何かのインタビューで、Atlantis みたいなバカみたいに複雑難解な曲を書く奴は、俺の知る限り他にいないみたいなことを曲名を挙げて言っていた記憶がある。前述の如く Derek と Virgil の共作なので、どちらがどの程度寄与しているのかは不明。僕のように、アトランティスとかムーとか聴いただけで脳内にロマンが満ち溢れる輩には、このSFチックでロマンチックなプログレナンバーはかなりツボだ。
とにかく随所に、高速ユニゾンのキメが多発される。1stソロの最初の曲なので、かなり気合が入ったのだろうね。
Brett の g ソロは、音の粒立ちが揃い、音色がきれいで惚れ惚れする。
Virgil のドラミングは、後の Planet X (プロジェクト)と比べると控えめ。
Tony の b は、良く唄っていて気持ち良い。

Tr.5 Box
ちょっと面白いリフが一貫して続くポップ(当社比)な曲。
Brett はスライド奏法(左手指に金属製チューブを被せて弦の上を滑らせ音程を連続的に変化させる)の名手なんだが、この曲でそのスライドを披露している。

Tr.8 State of Delirium
曲名は譫妄状態って奴だ。アルコールやヤクで相当ヤヴァイところまで行ったり、事故のショック等でもなる。本アルバムの中では、ややダークサイドな雰囲気。ヘビーなリフで進行する。Derek が、g にフィードバックをかけて、アームをグワングワンさせながら弾いたようなソロをシンセで弾いている。これやられると、もうバンドに g 不要じゃないのとか思ってしまう。

Tr.9 Space Martini
元気なドラミングが、Jeff Beck の Space Boogie (There and Back, 1980) を思い出させる。曲名も似ているし、Derek 本人が Jeff Beck 好きを広言しているので、恐らく意識的に真似してリスペクトして書いているんじゃないかな。
Virgil Donati に、2バス連打を延々とさせるなんて、壮大な無駄遣いにも感じるが、きっと本人は楽しんでやっていることと思う。

Tr.10 Brunei Babylon
この曲だけ Brett Garsed が書いているので、他と雰囲気がやや異なる。SFっぽさが少しだけ後退し、Uncle Moe みたいなそこはかとないバカっぽさが音の隙間から漂ってくる・・・ように感じられるのは気の所為か。
曲の後半、4分手前のあたりから曲調が(一応は)本作全体に色調を合わせたSFチックな感じに変化して、まあ上手いこと丸く収まるから大丈夫だ。(何が?)

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