フランスの Jazz バイオリニスト Jean-Luc Ponty の作品。
彼は Electric Jazz/Fusion 界における Jazz Violin の草分け(’42年生まれ)なんだが、Frank Zappa や John McLaughlin あたりと共演したり、最近では再結成 Return To Forever の来日公演(2011)にてお元気な姿を見せてくれたり、活動の幅が広い人。
さて、僕が何故このアルバムを買ったかというと、理由は明確。Scott Henderson(g) が参加しているから。
丁度、Tribal Tech のデビュー作 Spears(1985) やら、Jeff Berlin の Champion(1985) あたりと同時期。スコヘン好きとしては買わないわけにはいかない重要なアルバムなのだ。
参加ミュージシャンは、Jean-Luc Ponty(vln) / Scott Henderson(g) / Baron Browne(b) / Rayford Griffin(ds) の4名。
Jean-Luc 御大は、Zeta Electric Violin を主に使用している。これは各弦に独立ピックアップが付いていて、MIDI を出力できる。言い換えればバイオリンシンセサイザーみたいな代物だ。ギターシンセと同様に、生音(というか普通にピックアップしたアナログ音)とシンセ音をMixできるようになっている。クレジットによると、彼は Zeta で Prophet-5 や Synclavier を音源としてコントロールしている模様。
Tr.1 Infinite Pursuit
のっけから Jean-Luc(左)と Scott(右)の掛け合いだ。
疾走感はあるものの、リズムが跳ねない縦ノリで、ちょっと時代を感じる曲なのだが、曲展開がなかなか知的に構成されていて、しかもチャーミング。クラシック音楽家一家に生まれて、幼少の頃から鍛えられて育った凄みを感じるね。(Jean-Luc は、パリのコンサルバトワール卒業のバリバリな音楽エリート)
Tr.2 Elephants in Love
恋するゾウさん(はあと)。
ちょっとアフリカンでミニマルなパーカッション(カリンバっぽい)のシーケンスをバックに、バイオリンの多重で始まる。
2:42頃から他の皆様が入ってくるが、大人しく伴奏に徹していてあまり出番が無い。
この曲は素直に Jean-Luc の流麗な演奏に聴き惚れるのが正解。
Tr.3 Radioactive Legacy
バックの皆様は伴奏に徹しているが、ベースがなかなか聴かせる。
ギターはバッキングのみ。
Tr.4 Cats Tales
きたきたきた~。
0:40頃から Scott の素晴らしいギターソロ。
音色も指グセも、Tribal Tech や Players の当時の音そのもの。当たり前だけど。
多分、この曲のギターソロを聴く(だけの)ためにアルバムを買った物好きなファンは、僕だけじゃないと思うぞ。
続いて Jean-Luc のバイオリンソロもちょっとギターを意識した感じで面白い。
Tr.5 Perpetual Radio
これも構成美に溢れた素敵な曲。
でもギターはほとんど弾いていないな。
Tr.6 In the Kingdom of Peace
Jean-Luc 単独での演奏(多重録音)。
リズムセクション無しで、シンセパッドをバックに幻想的なバイオリンのフレーズが飛び交うという、まあ良くある発想ではあるものの、卓越した演奏力と構築力で作り上げられている素晴らしい曲。
余韻を残して終わり、これで終わるかと思いきや・・・。
Tr.7 Plastic Idols
これも Jean-Luc 単独での演奏(多重録音)。
プログラミングされたバックトラックの上で、ビュンビュンにエコーを効かせて楽しげに弾くバイオリン。
このバックトラックの作り込みがなかなか素晴らしく良い出来で、後のクラブミュージックシーンを先取りしたような感じなのだ。全然ジャンルは異なるが、Rachid Taha の Ole Ole(1995) のTr.1 Valencia とか連想してしまうな。
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