Allan Holdsworth – Metal Fatigue(1985)

先生のリーダー作3枚目(The Things You See も数えれば4枚目か)、思わせぶりなタイトルだ。直訳すれば金属疲労なので、自らの境遇を嘆いて皮肉を利かせたと考えられなくもないが、Tr.1(アルバムタイトル曲)の曲調から素直に考えれば、Heavy Metal をおちょくっているのだろうと思う。Eddie Van Halen のお陰でメジャー進出できたことは有名なエピソードだが、先生自身はメタル方面には距離を置いていたので、まあその辺の何かを表現しているのかなと・・・。まあいいや。
全曲を通して、前作同様ロックでポップな印象が強い。Bruford や UK 等が好きなロックファンには聴きやすいサウンドだが、Lifetime や Soft Machine 等が好きな Jazz Rock ファンにはちょっと抵抗あるかもしれない。
参加メンバーは Allan Holdsworth(g) / Jimmy Johnson(b) / Chad Wackerman(ds) の3名を基本にボーカリストやキーボーダーが加わる構成だが、Tr.5とTr.6だけは大きく異なる。

Tr.1 Metal Fatigue
いきなりハーモナイザーを効かせた暴力的なギターリフで始まるが、Paul Williams(vo) が加わるとファンタジックできれいな曲調に変化する。この暴力的なリフを除けば、曲自体は I.O.U. の素直な後継だ。

Tr.3 Devil Take The Hindmost
これは先生お気に入りの曲で、ライブでも良く演奏していた。
曲名は英語の慣用句で、「逃げるが勝ち」みたいな意味。Al Di Meola みたいにスペイン高速で悪魔と死闘したりする曲では無いよ。
基本メンバー3名の演奏力が物凄いので、インスト好きな人は聴いてて楽しいと思うが、曲そのものにはあまり面白みはない。

Tr.4 Panic Station
I.O.U.のラストに入っていた White Line みたいな前進感のある明るい曲調の曲だ。先生のソロは、気迫を込めた入り方からして何だか凄いんだけどとても短い。曲長が3分半しか無いからね。他の曲も短めで、その理由は次のTr.5がとても長いからだ。

Tr.5 The Un-Merry-Go-Round (In Loving Memory Of My Father)
亡くなった父親の思い出に捧げた曲とのことだが、メリーゴーラウンドの否定形(?)とはこれいかに。
ds が Gary Husband に、b が Gary Willis に交替し、Alan Pasqua(kbd) が参加している。Chad に比べると、Gary Husband は鬱陶しいほどに手数多く叩きまくるよ。
4:42頃、Alan Pasqua のパッド音を背景に、先生の g がまるで木管楽器(oboe等)みたいな音を出していてとても楽しい。
6:04頃から、美しいコードソロが始まる。先生がギターシンセを導入するのは次回作からなので、本作ではまだ通常の g 音を複数のディレイで拡げているだけだ。だけと言ってもこれがなかなか真似できない。

Tr.6 In The Mystery
b は Jimmy Johnson に戻り、ds は Mac Hine とクレジットされた人に替わる。繋げて読めば Machine だ。つまりこの ds はドラムマシン(打ち込み)なのね。vo は Paul Korda 、この人は先生と共に作曲にもクレジットしている。
この曲は、アルバム中の他の曲と全く肌触りが異なり、先生の前後のリーダー作の諸曲とも雰囲気が異なる。ボーカルメインのポップな曲だ。埋め草的に作ったのかもしれないけれど、結構これ素直に良い曲なのね。先生の曲ははっきり言って一般人には聴き辛い(曲としてつまらない)ものが多いので、もう少しこの路線を追求してみても良かったんじゃないかな、と勝手なことを想ったりする。

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