Yes、King Crimson、Gong、National Health、UK と、Prog Rock 及び Canterbury Music の王道ど真ん中を歩んできた最重要人物の一人 Bill Bruford。
本アルバムは、彼がバンド渡り鳥生活を脱するべく(?) Bill Bruford 個人名義で発表した Feels Good to Me(1978) に続き、UK参加/脱退を挟んで、翌年1979年にリリースされた Bruford 名義(バンド名義)の1枚目。
Bill Bruford(ds) 以外のメンバーは基本的に前作と同じで、Dave Stewart(kbd)、Allan Holdsworth(g) 、Jeff Berlin(b) という強力な布陣。他にゲストで、Eddie Jobson(violin) が1曲、後に Brian Eno 夫人となる Anthea Norman-Taylor(語り)が 1曲参加している。
Dave Stewart は、National Health の立ち上げからの繋がり。但し Bill は National Health の起動後早々に脱退してしまい Pip Pyle に交替している。Bill 曰く、Dave は曲作りの師匠らしい。
Allan Holdsworth は、1975年頃に Soft Machine の Bundles や、Tony Williams Lifetime の Believe It 等に参加して Prog あるいは Canterbury 界でコツコツやっていたが、前年のUK参加により爆発的にロック界での知名度が向上したものの、1枚目制作後に Bill と共に UK を脱退してしまう。
Jeff Berlin は、元 Yes の Patrick Moraz が Bill に紹介したご縁らしい。後に Jeff は本作での共演がご縁となって、Allan の出世作 Road Games(1983) に参加している。
Tr.1 Hell’s Bells
7+7+5 の19拍子で始まるテクニカルだがドリーミーな曲。Allan の g が、後の滑らかなバイオリントーンではなく、Believe It あたりと同じロックっぽい音なのが時代を感じる。
Tr.2/3 One of a Kind – Part One/ Two
2トラックを使ったアルバムタイトルの組曲。
Part One の方は、Dave のシンセと Allan の g のユニゾンが楽しい。後ろでマレット楽器が鳴っているが、これは Bill が叩いているのだろうか。
Part Two は、ぐっとくだけてフリーフォームっぽくなる。3:00頃 Bill がティンバレスみたいな音でかっこよくカットインし、曲調が変化。Dave の口笛のようなシンセを背景に Allan が豪快に弾きまくる。
Tr.7 The Abingdon Chasp
Allan と Dave による短いけれどかっこいいオーケストレーションと、Jeff の b によるリードから始まる。1:33 頃、楽し気に刻む Dave の細かいフレーズでテンポアップ、その後目まぐるしく曲調を変化させ、再びイントロのオーケストレーションフレーズで終結する。素晴らしい作曲力だ。
Tr.8 Forever Until Sunday
UKを共に立ち上げた盟友 Eddie Jobson のバイオリンが美しく切ない。週の前半は次の日曜日まで、永遠と思うほど長いよね~。
Tr.8/10 The Sahara of Snow – Part One / Two
本アルバムのハイライトとなる壮大な組曲。雪のサハラという曲名も何やら映像的でファンタジックだ。
Part One は、ミニマルミュージック的な短い反復フレーズと、パーカッシブな Bill のプレイがスリリング。こういう曲では、Bill のハイピッチなスネアの音が本当に良く似合う。後半の幻想的なシンセは、ちょっと Terry Riley のようだ。まあ The Who とか、みんな真似したんだが。
Part Two は、ピアノ、b、ハンドクラップがゆったりとしたリズムを刻む上で鳴り響く Allan のロックっぽいカッティングがちょっと珍しい。超高速に弾きまくる Allan にリードされて曲が進行し、最高潮に達したところで Dave のシンセによるドラマチックなエンディングを迎える。
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