Nils Petter Molvaer – Khmer(1997)

Norway のトランペッター Nils Petter Molvaer のソロ第一作。
当時良く雑誌記事等で見かけたのが、もしMiles がご存命だったらこういう方向(Acid Jazz)に行ったのではないかという仮説。想像するとなかなか楽しい。
で、本アルバム、カッコ良いことこのうえなし!
アイデアが枯渇してきた Jazz オヤジが、ちょっと流行りの音を取り入れようとまわりに若いヤツを侍らせて、適当に賑やかにやらせて、自分は時々ソロを吹いてお茶濁し、という作りでは全く無い。(別に Miles のことじゃないよ~)
NPM自身が、多分にプロデューサー的な役割を担っていると思われ、それに加えて tp 以外に、ベース、パーカッション、各種サンプラーまで自分で弾いている模様。つまりこれらの曲想は NPM 自身の脳内で鳴り響いている音をサイドメンの協力も得て打ち出しているのだろう。

Tr.3 Access / Song of Sand I
実は東京Jazzで来日したNPMのライブ映像を見て、この曲を聴いてファンになった次第。重低音の D’n’B の上に、抒情的なシンセのサウンドスケープが重なり、何とも切ない映画音楽のような風情。そこに時折、Eivind Aarset の暴力的ギターが鳴り響き、残響を効かせた NPM の tp が切れ味鋭くカットインする。
題名の「砂の歌」とは何だろう。無常を感じる曲だ。

Tr.7 Song of Sand II
再び Tr.3 と同じテーマで別バージョン。何だかもう、このまま死んじゃうくらいに痺れ気持ち良い。そういえば、NPM の次回作 Solid Ether(2000) の最初の曲は Dead Indeed (もう死んじゃうほんとに)だったりする。

Tr.8 Exit
多分 Tr.3 の Access (入口)と呼応しての Exit (出口)なのかと。Tr.1 Khmerのテーマが再び奏でられ、静かに曲が終わる。激しい曲の後にはチルアウトってのが、いかにも Acid Jazz だ。

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