Mohini Dey – Mohini Dey(2023)

インドが生んだ天才ベース少女(当時)がすっかり成長して自身の名を冠したソロアルバムでデビュー。
それだけでも凄いのに、ゲスト参加している顔ぶれが尋常では無い。(後述)
実は彼女のバンドが今年の夏(2024年8月)に来日して都内で演奏してくれる予定なので、予習としてアルバム購入した次第。
ジャンル的には Jazz/Funk Hard Fusion にインド伝統音楽フレーバー(コナコルとかね)がトッピングされた感じ。
子供の頃から第一線でプロとして活躍してきた故の臈長(ろうた)けた感じと、若い女性故の普通なカワイサが同居しているのが楽しい。
Tribal Tech とか Protocol とか好きな人には絶対にオススメ。

D/L販売で入手したので、曲毎の細かい演奏者クレジットが不明。
ネットで検索してある程度は特定できた。
基本メンバーは Mohini Dey(b) / Mark Hartsuch(sax, kbd) / Gino Banks(ds) の3名。今回の来日もこの3名。Mark は Mohini の旦那様。
次にゲストだが、ドラム陣がまず凄い。
Marco Minnemann、Narada Michael Walden、Simon Phillips、Gergo Borlai、Nishant Hagjer
ギターは、
Guthrie Govan、Ron Thal、Mike Gotthard、Rhythm Shaw
キーボードは、
Scott Kinsey、Daniel Szebenyi
といったところ。
この顔ぶれを見ただけで、出音をかなり想像できると思う。

Tr.1 In-N-Out
Mohini 嬢は食べることが大好きらしく、この曲はチーズバーガー愛(笑)がテーマらしい。
曲調は Tribal Tech + Level42。強靭なベース/ドラムに絡むのは変態ギター名手の Ron Thal 先生。
2:04頃から先生の流麗メロディアスなギターソロ。変態成分は少なめだから万人にオススメできる。
後半ドライブし続けるスラップベースには、うっすらと Mark King へのリスペクトが漂う。

Tr.2 Introverted Soul
Aristocrats の Guthrie Govan(g) 先生登場。
曲調はちょっと昔の Greg Howe 的な Tech Fusion だ。
インタビューによると、この曲は子供の頃に書いて、ずーっと暖めていたらしい。
2:01頃から、期待を裏切らない Guthrie の変音(みゃーみゃー、ぎゃーぎゃー)gソロ、裏で超細かい Victor Wooten 的bフレーズ。
3:50から、コナコル(インド伝統音楽のリズムパターンを口述で教えるための口パーカッション)を歌いながらのベースソロとインドっぽいパターンのドラムが交互にプレイ。

Tr.3 Bombay Bong
Simon Phillips(ds) 先生登場。もう明らかに曲の雰囲気や音響が変化するのはさすが。
1:35 頃から、Mark Hartsuch(sax) と Mohini(b) の楽しい夫婦ユニゾンが聴きどころ。

Tr.4 Meat Eater
これも Mohini 嬢の食べ物好きな曲。
ゲストは Scott Kinsey(kbd) 先生。Tribal Tech の影番長で、Weather Report の生きるレジェンドな人。
イントロの最後のフレーズにうっすらと Proto-Cosmos の香りが・・・。
曲調は王道フュージョンなんだけど、ギターではなく Sax がリードするので少しだけ Japanese Fusion の香りも感じる。(意外と世界中にファンがいるらしいぞ)
キメフレーズにまたも Greg Howe 版 Proto-Cosmos の香りが・・・。
楽しいね。

Tr.5 Coloured Goddess
人種(有色人種)差別が根強いインドの女性らしいストレートなプロテスト。
コナコルではなくスキャットしながら華麗なベース。
気品溢れる王道フュージョン。

Tr.6 First Food Then You
「あなた」の前にまず「食べ物」とは若いギャル(死語)らしいね。
Aristocrats の Marco Minnemann(ds) 先生登場。
のっけから手数の多いドラム乱打と超絶技巧スラップベースの怪獣対決が続く。
2:54頃から Mohini のコナコルと Marco のインドっぽいパターンの対決が凄い。
このインド伝統音楽譲りのタブラみたいなリズムパターンをドラムセットで叩くプレイ、Ranjit Barrot 等が有名どころだが、非インド人でここまでこなすのは見事。

Tr.7 Kick’B’ass
満を持して? Narada Michael Walden 大先生の登場。
年齢を一切感じさせないスリリングかつオシャレな超絶技巧ドラミング。
後半での Mohini のハーモニクスを交えた美しいベースソロは一聴の価値あり。

Tr.8 Emotion
Victor Wooten 的なベースのバッキング+ソロ(多重録音だと思う)。

Tr.9 Happy To Slap It
ちょっと轟音ロック風に始まる。
B’z に客演して Rock も好きになったらしい。
曲調はフュージョンなんだけど、ドラムの音はラウドに鳴り響くロックサウンド、ギターもバリバリのディストーション、そしてベースはブリブリとスラップ。
リズム的なまとまり(全員が共通言語としてインドのリズムイディオムを骨の髄まで理解しているのだろう)の良さはさすがの一言に尽きる。

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