Jeff Berlin – High Standards(2010)

Jeff Berlin 温故知新シリーズ第8弾。
アルバムタイトルの通りいわゆるスタンダード集なのだが、メンバーが Jeff Berlin(el.b) / Richard Drexler(p, ac.b) / Danny Gottlieb(ds) といういつもの面子なので、よくあるピアノトリオ編成「ではない」ところが面白いのだ。
Jeff Berlin はフロントマンとして、さながらピアノ、ホーン、エレクトリックギターのようにベース(エレクトリック)で曲をリードする。
Richard Drexler は、Jeff がソロを弾いているときはアコースティックベースでバッキング、そして Jeff がバッキングにまわるとピアノで(時にはベースでも)フロントにまわるという縦横無尽の活躍。
それをがっしり裏から支えるのが Danny Gottlieb の軽快なドラミング。
つまり、曲の局面に応じてピアノトリオ形態とベースデュオ(+ドラム)形態がころころと入れ替わるわけだ。こんなのライブで見たいよね。

Tr.1 Groovin’ High
Dizzy Gillespie 作のバップナンバーでアルバムがスタート。
超高速なバップフレーズを Jeff が左手のハンマリング・プリングを多用しながら繰り出す。
右手は弦のブリッジ側を弾いているようで、かなり倍音が多く立ち上がりが速い音。ネックに近いところを弾くと、もっとベースっぽい豊かな音にはなるけれど、弦の振幅が大きく立ち上がりも遅くなるので、速弾きには向かないのだろう。

Tr.2 Nardis
Miles Davis 作ではあるが、むしろ Bill Evans の演奏で有名な曲。
冒頭からのベースデュオ(+ドラム)形態での演奏を是非聴いてみて欲しい。
完全にピアノレスでの謎のトリオ編成が成立しているよ。
いっそ Jeff Berlin に Chapman Stick を弾かせてみたい気がする。

Tr.4 Body & Soul
Johnny Green 作の、バップ以前の時代から演奏され続けている、「ど」がつくスタンダード曲。
フロントマンとしての饒舌なベースプレイと、Richard の p のバックにまわったときの巧みなバッキングプレイを交互に聴けるという贅沢。
中盤のベースソロでは、グリッサンドを使ってホーンプレーヤーみたいな効果を出したりしているのが面白い。

Tr.5 Solar
Miles Davis の名曲。
拙宅のライブラリを検索すると実に多くのミュージシャンによるこの曲のバージョンが見つかったのだが、一つ面白いところを挙げると Marc Johnson の Magic Labyrinth(1995) 。ベース(アコースティック)+パーカションのみで真面目にもこもこと演奏している。如何にもベーシストらしい演奏なので、比較して聴くと面白い。
一方本アルバムでの Jeff Berlin は、たっぷりとリズムに緩急を付け比較的フリーに演奏している。
2:00頃から、ピアノトリオ形態でインテンポ。Jeff のランニングベースをバックに Richard の端正なピアノソロ。古典に敬意を表した格調高い演奏。
4:02頃、堂々の Jazz らしいベースソロ。昔のケレン味やいつものユーモアを封印し、とても真面目に真摯に向き合った演奏。

Tr.8 Valse Nobles Et Sentimentales No. IV
ラベル作曲のワルツ(クラシック)。
邦題で言うと「高雅で感傷的なワルツ」。
一般的には Valses ~と表記するようだが、アルバムクレジット通りの表記とした。
一種の Interlude(間奏曲) あるいは「箸休め」としてこの短めな曲を収録したのだと思うが、何だろうね、やはりピアノへの憧憬があるのかな。
Richard のピアノと Jeff のベースが一体となってまるで音域の広い一つの楽器に聴こえる。

Tr.9 Someday My Prince Will Come
アルバム最後は、誰もが知っているこれも名曲中の名曲。
アルバム全体を通して聴いてくるうちに、リードベース+バッキングベース+ドラムスというこの考えようによってはかなり変態的なバンド形態が、とても自然に聴こえてくるようになってきて違和感無しになる。
3:30頃、Jeff がバッキングにまわり、Richard がフロントへまわってしばらくソロタイム。
ハイポジションの音程に少し難がある(結構フラット気味)のだが、味のある良い演奏。
その後 Jeff がフロントに戻り、美しい和音プレイ等控えめに織り交ぜつつきれいにエンディング。
素晴らしい Jazz 王道の作品。

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