Buckethead – Electric Sea(2012)

ケンタッキーフライドチキンのバケットを頭にかぶり、顔は白塗り、ジャイアントロボのテーマとともにステージに登場する、どこからどう見ても変な人なんだが、ギターの腕前と作曲能力は超一流。しかも超多作なので、彼の全貌を捉えるのはとても難しい。基本的にはメタル系シュレッディングの人だとは思うが、本作はいわゆるアンビエント、昔は環境音楽とか呼ばれたそういう系統だ。
本作は、基本的には彼一人のエレキ(el.g)、アコギ(a.g)の多重録音で作られている。つまり自宅録音の延長みたいなノリなのだが、完成度が恐ろしく高いのは天才の仕事だから。

Tr.1 Electric Sea
美しく切ない佳曲だ。a.g をバックに、クリーントーンの el.g を重ねているのだが、とても繊細な弾き方で、一音毎のピッキングの有無や強弱、左手のスライドやビブラート等の使い方がとても勉強になる。

Tr.2 Beyond the Knowing
まるで Windham Hill のような、あるいは Michael Nyman のような、ドラマチックで美しい曲。

Tr.5 El Indio
なんちゃってスパニッシュ。マカロニウェスタンというか、タランティーノが作る西部劇みたいな感じだ。

Tr.6 La Wally
今度はイタリア歌劇(オペラ)だ。Jeff Beck も楽しそうにプッチーニを弾いていたしね。

Tr.7 La Gabotte
で今度はバッハのガボットだ。普通にクラシカルに弾いていて、普通に上手いよ。しっかりと聴いてから、次の曲と比べよう。

Tr.8 Bachethead
同じガボットを、今度は Buckethead バージョンで弾いている。タイトルは Bach + Buckehead ね。a.g をバックに el.g で弾いているのだが、あまり変な方向には行かず、意外と素直に弾いている。自己満足の超高速速弾きとか一切やらないところに、楽聖 Bach への敬意も感じられるし、好感が持てる。

Tr.11 Homing Beacon
曲名の homing beaconというのは、船や飛行機等を目的地に誘導するための電波標識のこと。で、この曲は Michael Jackson 逝去のニュースを聴いて、Buckethead が自身のHP上に発表し、彼にトリビュートした曲なのだ。
偉大な魂が、安息の地に無事にたどり着きますようにと。

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