Tribal Tech – Spears(1985)

Scott Henderson(g) と盟友 Gary Willis(b) による双頭バンド・・・なのだが、本作をはじめ初期の頃は “Scott Henderson and Tribal Tech” と名乗っていた。
今は亡き Passport レーベルからリリースされた彼らの記念すべき1作目。
本作とほぼ同時期に、Jean-Luc Ponty の Fables(1985) に Scott が客演して一部のスキモノ界で話題を呼び、その翌年には”あの” Chick Corea Elektric Band(1986) に参加して全国のギターキッズに知られることになった・・・んだろうな多分。その後、1987年に Players、1988-89年に The Zawinul Syndicate と大活躍の時代が続くが、その怒涛の時代の幕開けが本作。
ちょうど僕自身の音楽遍歴的にも、 Scott の衝撃的登場から今までほぼ同時代的に聞いてきたので、思い入れが深いミュージシャンである。
Scott の g の特徴は、絶妙なスケールアウト(アウトサイド)を取り入れたテクニカルなフレージングと、ピッキングの強弱や精妙なビブラート・アーミング等も含めての音色のコントロール(アーティキュレーション)の上手さだと思っている。後の時代になるとロック色(あるいはブルース色)が強くなってくるが、この頃は音色が比較的クリーンなので弾き方がわかりやすい。
あと付け加えるならば、彼は「登場したときから完成されていた」タイプのプレーヤーで、一聴してすぐにわかる彼独特のフレージングや音色が、この時点で既に確立されている。

Tr.1 Caribbean
曲名通りラテン風味を加えた軽妙なフュージョン・・・なんだけど、フレージングがもう絶妙に変態的。g と ss のユニゾンを挟み、3:04 あたりから Scott の美しいソロ。当時の音楽雑誌で彼のフレーズ分析が流行したが、確かに一音一音拾って、”ここでなぜこの音を持ってくるのか”小一時間くらい議論したくなるようなテクニカルなフレーズ。でもそんなことを気にせず聞いてもとても美しい。

Tr.3 Ivy Towers
g とマレット楽器(vibかな)による幾何学的フレーズ(7拍)の繰り返しは何だか K.C. を想起させるが、伸びやかな美しいトーンがドリーミー。で、曲構成は鬼のように複雑怪奇。ああ、何を書いているのか自分でもよくわからない。

Tr.5 Spears
本アルバムのタイトル曲。ジャケット画は”槍”なんだが、この槍には何やら電子装置やLEDやらが仕込まれていて怪しく光っている。バンドの心意気は、ハイテク武装した蛮族で行こうって感じか。そういえば、g も b も、ネックからヘッドのところは槍っぽいよね。槍を抱えた蛮族に見えなくもない。
4ビートのフォーマットで進行するが、例によって一筋縄では行かない。5:00頃のドラムソロを経て、幾何学的フレーズの繰り返しが始まり、その後6:16頃からキレた Scott の大ロックギターが一瞬始まるものの、幾何学的フレーズの渦に飲み込まれて曲が終わる。ジャケットを見ながら聞くとヤンチャな心意気が感じられて面白いね。

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