Jeff Berlin – Low Standards(2013)

Jeff Berlin 温故知新シリーズ第9弾。
現時点ではこれがソロ最新版なので、温故知新シリーズはこれでやっと終了できる予定。
それにしてもこの8年ほど、Jeff は何をしているのだろうか。
手に怪我をしたらしいし、その回復後はネット等でベースの教習(クリニック)なんかもしているようで、更には Brand-X のライブに Percy Jones の代役として(!)参加したというなんだかもの凄い噂も聴くが・・・。

さて、2013年リリースの本作は、アルバム・タイトルからもわかるように前作 High Standards(2010) の路線踏襲。
メンバーは Jeff Berlin(el.b) / Richard Drexler(p. ac.b) までは前作と同じで、ドラムスが前作の Danny Gottlieb から Mike Clark に替わっている。
それにしても、アルバム・タイトルといい、このジャケットといい、ほんとこの人の変なユーモアというか茶目っ気というか、もうほんとに売る気が無いよね・・・。
前作の High Standards という語にはいわゆるスタンダードナンバー集であることに加えて、水準以上の高みを目指す気概があったわけだが、満を持したその続編がこれだ・・・。
で、このジャケット画!きったない部屋の壁面にモナリザが書きなぐってあるという構図。もうちょっと自分の仕事を誇っても良いんじゃないの!と思うのだが、まあ昔からこういう人だからね~。

Tr.1 E.S.P.
Miles のアルバムが初出、Wayne Shorter 作のスタンダードからスタート。
前作同様、ベースデュオ構成(Jeff がフロントで饒舌なフレーズを奏でる後ろで、Richard がランニングベースでバックアップ)とピアノトリオ構成(Richard がピアノでフロントに Jeff はバックに)がくるくる入れ替わる面白さ。
あースゲーと思っているうちにあっという間に曲が終わる。

Tr.5 Vashkar
Tr.1 ~ Tr.4 まで、Wayne Shorter 作と Steeve Swallow 作の比較的まったりしたタイトルが続いた後、Carla Bley のこの曲でがらっと雰囲気が変わる。
Jeff のソロも素晴らしいが、ここは Richard のピアノを褒めてあげたい。

Tr.7 Whisper Not
Benny Golson 作のスタンダード。
数々のホーン、ギター、ボーカルによるバージョンを聴いてきたが、ベースバージョンは本作が初めてだ。フロントがベースであることの不自然さ(?)を全く感じさせない、とても滑らかで自然なアーティキュレーション。ほんとに上手い。

Tr.8 James
みんな大好き Pat Metheny/Lyle Mays の名曲。
ベースデュオ構成(+ドラムス)で、Jeff と Richard が交代で前に出るのだが、Jeff は当然としても Richard Drexler も抜群に上手。
そしてここぞというところで、ピアノに持ち替えて切り込んでくると、思わず拍手したくなるな。
商業的にはそれほど売れるとは思えないのだけど、好きな人にはとても愛おしい素晴らしいアルバム。

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