Sebastiaan Cornelissen Group – Sebastiaan Cornelissen Group(2011)

オランダの Jazz-Rock Fusion ドラマー Sebastiaan Cornelissen が率いるグループの作品。
同国の Richard Hallebeek(g) との共演で興味を覚えて購入したのだが、それ意外の活動はあまり良く知らず。
本作の目玉は、フランスのギタリスト Marc Guillermont の参加だ。Allan Holdsworth 好きな方々には良く知られたギタリストなのだが、一般には無名かな。僕は Ranjit Barot のソロで彼のギターに惹かれて、その後おっかけているのだが、彼のギターは Holdsworth 的というよりも Scott Henderson 的だと感じている。そして本作においては特に、Marcがモロに Scott Henderson 愛溢れる音・フレージングで弾いている。そのスジが好きな方には是非お勧めしたい。CDは入手難だが、Bandcamp で安価にデジタル販売されているよ。
他のメンバーも紹介すると、Frans Vollink(b)、Coen Molenaar(kbd) の2名。一部の曲では ds/b/kbd のトリオ編成、大半の曲では g を加えてカルテット編成で演奏している。曲は全て Sebastiaan が書いているようだ。

Tr.1 Forum
Hallebeek のプロジェクト RHP の凄まじい熱気を期待して聴くと、その期待は180度裏切られるよ。
いやあ実にまったりと爽やかな「ふゅーじょん」だ。スローテンポで、各パートの技巧の見せ場も特に無く、曲構成も単純。極めつけは Marc のギターのサウンド。遅め・深めのコーラスでヨレヨレ、モコモコの謎な音にしている。
もうこれって、意図的に、確信犯的に、敢えて昔風の作りで懐かしフュージョンをやっているよね。
最後まで、特に種明かし等無く、まったり進行してそのまま終わる。

Tr.2 Unidentified
この曲も Tr.1 とほぼ同様。Marc のギターの音もほぼ同じだが、かなり速いパッセージを弾いていて、少し今風。Sebasiaan のドラミングも少し音数が多くなってくる。80年代が90年代に進んだ感じかな。

Tr.3 Loved You Before
この曲は Marc 抜きのトリオ編成。
曲調は、80年代フュージョンみたいな能天気でゆるい感じ。
Frans の b ソロがなかなか素敵。
何やらドラマがありそうな曲名だけど、曲の方は特にドラマも盛り上がりも無く進む。最後のドラムソロがやや見せ場か。

Tr.4 Paraquats
ようやく曲にテンションとスリルが加わってくる。2000年代に突入したか。
Marc がここに来て本領発揮。昔の(Passportレーベル時代の)Scott Henderson みたいなトーンで、昔の Scott にそっくりのフレーズをプレイしている。一例を挙げれば、4連の高速フレーズで最初の2音が同音、これを超高速に繰り返すやつとか。確かこれは更に先祖をたどると、Michael Brecker 先生に行き着くという説もあるが、長くなるから割愛。
中域を重視したバイオリンみたいな素敵なトーンとか、高速のスケールアウトフレーズの最後を軽いアームダウンで〆るとか、好きな人が聴けばあちらこちらに Scott Henderson っぽい箇所が見つかる。まあ特に誰風というのではなく、今どきの当たり前の弾き方だと言えばその通りなんだけどね。

Tr.7 Wristkiller
さあお待ちかね、テンションとスリルに満ち溢れた現代の Jazz-Rock だ。もう最初からこういうのをやってくれれば良いのに。
なお、この曲は Richard Hallebeek の RHP II(2012) のTr.1にも収録されていて、そちらでは Richard(g) + Alex Machacek(g) という超豪華な顔ぶれで演奏されているから聴き比べるとよろし。キーボードも Lalle Larsson だしね、ほんと凄いメンバーだよ。
で、本作では、RHP II バージョンに比べると Jazz 成分多めの演奏になっている。ギターが少し抑えめで、鍵盤がリードする場面が多いからかな。
Marc のギターは出番少なめだが、ここぞとばかり素晴らしい音で、印象的なソロを弾いている。

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