今年の Tokyo Jazz 2019 の2日目夜の部の出演は、Snarky Puppy と Chick Corea Elektric Band だった。
僕は Chick Corea 目当てで行った口なので、Snarky Puppy については一切の予備知識無し。ところが、聴いてびっくり、何と凄いバンドじゃないの。バンドメンバー個々の演奏力が並外れているうえに、複雑なアンサンブルもばっちり決める。すっかり気に入ってCDを買い漁っているのだが、知れば知るほど恐ろしいバンドのようだ。
まず、メンバー数が尋常じゃない。登録メンバー(何それ?)は全部で40名くらいいるらしい。でも皆売れっ子で忙しく、スケジュールがなかなか合わないので、ライブ出演は楽器パート毎にローテーション制を取っているらしい!ローテーションって、いわゆる「3交替」とかそういうやつね。今回東京に来たメンバーは9名だが、それ以外に来なかったメンバーが30名くらいいて、その全員が漏れなく恐ろしい演奏力を持っているわけだ。いやはや。
レコーディングも、その時参加できるメンバーでやるらしい。しかも皆忙しいから、各自バラバラに練習してきて集まり、せーので一発録音とのこと。その様子が YouTube で公開されているのだが、誰かが突っ走って面白いことをやると、他の皆が追いかけてたちまちそれを吸収し、その場で素敵な音楽に仕立てていく様子がわかる。これこそ彼らが最強のライブバンドと呼ばれる所以だ。
なお、彼らの音楽をジャンル分けするのは難しい。リーダーの Michael League 自身は、自分たちの音楽は Jazz じゃない、自分の好きな音楽をやっているだけだと主張している。まあ色々と枝葉をばっさり斬って乱暴に言うならば、Jazz+Funk+World Music と言う感じだろうか。
さて、本作 Immigrance は今春出たばかりの最新作なのだが、これまでのせーので一発録音方式ではなく、いわゆる普通の録音、編集、オーバーダブといったプロセスを踏んだらしい。その分、ライブっぽい熱気は無いものの、緻密さ、クールさが増している気がする。参加メンバーが凄く多いので、列記するのは控えるが、楽器編成で面白いのが打楽器隊の多さだ。全曲 ds が3名体制で、その他にパーカッションが複数名参加している。なおパーカッションの一人は日本人の Keita Ogawa 氏だ。日本人がメジャーシーンで活躍していると、応援したくなるね。
Tr.1 Chonks
Funk 成分多めの曲、Michael League 作。ホーンアレンジが素晴らしい。Mark Lettieri の g が自分だけロックしてて楽しい。
Tr.5 Xavi
Tokyo Jazz でも演奏してくれた曲、Michael League 作。彼は Morocco の音楽(チャビ)が大好きで、その影響下で作ったとのこと。ds3名、perc3名の分厚いリズム隊の上で、ホーンとバイオリンが盛り上げる。5:44あたりからの超絶percアンサンブル大会を経て、その後で fl と tp が絡んでくるところが、なかなか素敵。さらにその後、Bill Laurence の p ソロで Jazzy な曲調になるが、バックのperc隊はアフリカンなリズムを刻み続けていて、最後はやっぱりアフリカ方面に行って大団円。いやあ何度聴いても楽しい曲だ。
Tr.7 Bad Kids To The Back
これも Funky な曲、Justin Stanton 作。Tokyo Jazz では、ds は1名(Jamison Ross)で演奏していたが、本作ではdsは3名だ。誰がどこを叩いているのかさっぱりわからないが、とにかく無茶苦茶細かいパターンを叩いていて、つい聴き入ってしまう。特に4:30あたりからの dsソロパートのハイハットの刻み方等凄まじい。
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