当時の「クロスオーバー」ブームの中で、日本では何故かそれほど人気が出なかった Steve Khan のソロ第二作。
大学に入って、中古LP屋まわりが日課となった僕は、ある日何だか印象的なジャケットの1枚を見つけて、あまり考えずに買ってみたのだ。どちらかというと Rock 側から Jazz 寄りににじりよりつつ勉強をしていた僕にとって、当代を代表するJazzフュージョン界のファーストコールミュージシャンが綺羅星のように集う本アルバムはまさに格好の教科書となってくれた。
Steve Khan は、el.g、a.g、及び el.g の12弦を使っている。b は Will Lee、dsは Steve Gadd の鉄壁ラインだ。パーカッション隊として、Ralph McDonald と、一部の曲で Rick Marotta が参加。kbd で Don Grolnick と、一部だけ Bob James 。そしてブラスは、Brecker 兄弟と、一部だけ David Sanborn が参加している。あと Michael Mainieri がマリンバで参加。ちょっとだけ参加しているゲストが他にもいるけど書ききれないので割愛。
さて、印象的なジャケット画の作者は Folon だ。後になって Folon 展に行ったことがあるが、猫のような鳥のような彫刻があって好きだったな。
Tr.1 Daily Bulls
Gadd / Lee のリズム隊が大活躍するハイテンポな曲。Steve Khan の g は艶があってとても滑らかな出音。ギタリストのソロアルバムなので、g が主役。だからソロパート以外はリードシンガーのように伸ばし気味の音で朗々と歌うように弾く。ソロパートの後ろで、Steve Gadd が殺気に満ちた煽りを入れてくるのが凄いよ。
Tr.2 The Blue Man
NYミュージックシーンで成功してレーベルオーナーとなった Bob James がこの曲だけちょこっと演奏で参加して、抒情的なsynソロを弾いている。ジャケット画を見ながらこの曲を聴くとなかなかぐっとくる。当時ボロ車でロングドライブして、山の中腹から沈む夕日を見つつこの曲を聴いて走ったことを覚えている。Steve Khan のソロパートは、ちょっと渡辺香津美を思わせる。というか逆だな。 渡辺香津美が、Steve Khan のプレイから吸収したのだろうね。
Tr.6 An Eye Over Autumn (For Folon)
Folon に捧げた曲だ。
Michael(ts) / Randy(tp) Brecker のブラザースに、更に David Sanborn(as) という豪華なブラスセクションが素晴らしい。Michael は中盤、Steve Khan と交代でソロを吹いているのだが、本アルバムを通して全体的には抑制的にバックサポートに徹している彼が、ソロパートでは強烈にブローしまくっていて、とてもかっこいい。
Steve Khan の g は幾何学的フレーズを繰り返す。いやあ本当に渡辺香津美を思わせる。だから逆だって。
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