Black Country Communion – V(2024)

リリースからちょっと間が空いてしまったが、ハードロック親父達のスーパーバンド Black Country Communion のスタジオ5作目 ”V” のレビュー。
一言で言えば、Zepp meets Purple みたいな70年代ハードロックを継承するバンド。
そのアイコンとして、モノホンの Deep Purple メンバーだった Glenn Hughes(b, vo) とモノホンの Led Zeppelin 伝説のドラマー John Bonham の息子 Jason Bonham(ds) が参加している。(一夜限りの再結成 Led Zeppelin では亡くなった親父の代わりを堂々務めた)
彼らを支える・・・どころか更に強力に引っ張り回すのが、ちょいワルイケメンブルース親父 Joe Bonamassa(g, vo) と、芸風広いワーカホリック Derek Sherinian(kbd) の2名。
演奏者としては以上4名なのだが、このバンドの音作りに欠かせない5人目の男が Kevin Shirley だ。プロデュースやミックスを担当しているのだが、この人、Journey や Dream Theater 等で数々の名作を送り出してきた達人。曲作りにも参加している。
さて彼らが打ち出す楽曲の特徴は・・・まあ何度でも書くが、Zepp風でありPurple風でもあるリフ中心のハードロックなのだが、Glenn Hughes はファンク大好き親父だし、Joe Bonamassa はブルース大好き親父で、そこに何故かプログレメタル界隈出身の Derek Sherinian がトッピング(色々封印してハモンド中心に演奏)されているので、なかなかバリエーション豊かで味わい部会仕上がりになっている。
彼らの第1作リリースが2010だから、もう14年も続いたんだよね。
とはいえ前作 ”BCC IV” から7年も間が空いたので、スーパーグループの常で気持ちが離れて空中分解しちまったのかなと危惧していたんだけど、皆さん掛け持ちで忙しい身の上だから単に時間が合わなかっただけなんだろな。
そして今回は、Joe Bonamassa が Glenn Hughes にそろそろやろうぜと声をかけた模様。
仲良きことは美しき哉。(しみじみ)

Tr.1 Enlighten
ギターとベースがユニゾンでリフを刻み、やたら重たいドラムが重戦車のように進む。
そしてハイトーンのシャウトが輝く・・・というほとんどZeppな曲。
皆さんほんと芸達者なんだが、ここで特筆したいのは Jason Bonham のドラミング。
親父譲りの超重たい、重戦車か超大型特機みたいなズシンと腹に来るサウンド。
多分こういうノリってのは、クリックに合わせたり、事前に仕込んだMIDIに合わせるべくオンタイムで叩いたりしている人には身につかないんじゃないかと想像。

Tr.2 Stay Free
Glenn のファンク大好きが全開になった曲。
この曲だけ女性バックボーカルが2名参加し、ファンキーなムードを盛り上げていることから、Glenn の思い入れが伝わる。
思い起こせば Deep Purple で Glenn と Davie Coverdale の2人が大好きなファンクを導入したもんだから、旧来のファン(と古くからのメンバー)からソッポを向かれたんだよな。

Tr.4 Restless
イントロのギターがもう意図的に Page 風味。
この煙るようなブルーズとミステリアスで切ないムード。
盛り上げて盛り上げて、満を持して始まるギターソロは、輝くばかりの Gary Moore 風味。
クラシックなハードロックの雰囲気を現代のテクニックとサウンドで蘇らせる教科書のような佳曲。

Tr.7 You’re Not Alone
ブルーズを下敷きにしたハードロックにファンクを加えると、リズムに生命感が宿る。
Glenn Hughes という親父はこれを、これだけを、長いキャリアを通してやり続けているんだよね。
ちょっと地味だけど素晴らしい曲。
Glenn の魂をこめたシャウトもぐっとくる。

Tr.10 The Open Road
アルバム最後はカラッと明るいこの曲。
拍の頭でカウベルを叩く、みんな大好き手拍子タイム。
えーこんなアメリカンロックで終わるの?と思いきや、曲の中間で雰囲気がガラッと変わり、Joe Bonamassa 渾身の魂込めたギターソロと各楽器入り乱れての凄まじきインタープレイ。
で再び手拍子タイムに戻って、カラッと終わる。
あーこれは確かにライブのクロージング向きだね~。

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