Jeff Berlin – Lumpy Jazz(2004)

ちょっと間が空いたけど Jeff Berlin 温故知新シリーズ、ソロ第6作目。
前作 In Harmony’s Way(2001) は王道の Jazz アルバムだったが、本作もほぼ同じ方向性を推し進めた・・・というか同じところにとどまったような^^;作品。
基本メンバーも前作と同じで、Jeff Berlin(b) / Danny Gottlieb(ds) / Richard Drexler(p, b) の3名。
Richard Drexler が、Jeff の饒舌なエレキベースのバックでトラディショナルなアコベを弾くのも前作と同じ。
一部の曲にゲストとして、ハーモニカの名手 Toots Thielemans と、パーカッションの John Scott Richardson が参加している。
アルバムタイトルであるが、”Lumpy” とは一般的な「ごつごつした」「でこぼこした」という意味に加えて、「(演奏が)下手くそ」という意味があるそうな。
超絶技巧の Jeff Berlin らしい懐の深いユーモア(楽器のテクは凄いけどこんなの Jazz じゃないという人に対する自虐的皮肉)だとは思うが、もうちょっと売れそうなタイトルを付けようよ。
このタイトルのことも含めて、全体的に「売る気が無いでしょ?」という感じを受ける。まあいかにも Jeff Berlin らしいというか、そういうところに惹かれるのだけどね。

Tr.1 Brooklyn Uncompromised
Jeff の美しいアルペジオプレイが全編にフィーチャーされた曲。
Champion(1985) に収録された彼の代名詞である名演奏 Dixie を思い出すような音色。
Richard Drexler はしっかりとアコベで Jazz らしいベースラインを引き、Jeff Berlin はまるでギタリストのようなプレイスタイル。

Tr.3 Lien on Me
ちょっとポップな香りの爽やかな Jazz バラードなのだが、タイトルが悪ふざけ。
Lean on Me なら良くある「僕に任せて(頼ってね)」なのだが、Lien は抵当権。Lien on Me は「差し押さえをくらっちまったぜ」みたいな感じかと。
曲はとっても爽やかなのにね・・・。

Tr.4 A Mensch among Unmentionables
ちょいとボサノバ風味の素敵な Jazz なんだけど、これもタイトルが・・・。
語呂合わせなのでそれほど深い意味は無いとは思うが、直訳すると「口に出して言うもはばかられるものどもに囲まれた一人の人類」ってな感じ。
曲はとっても素敵なのに・・・。

Tr.7 Toot’s Suite
曲名通り Toots Thielemans をフィーチャーした曲。
このあたりが本アルバムのメインかな。
中盤の Toots のハーモニカももちろん素敵なのだが、その後 Richard のピアノと Jeff のコード弾きバッキングプレイの美しいこと。

Tr.8 Everyone Gets Old (If They Have The Time)
ds / p / el.b でのバップだ。
根っからの Jazz ファンの人からは何かちがーうとか声が出るかもしれないけど、いいじゃないのすごく楽しそうなんだし。

Tr.9 Intermezzo In A Major Opus 118 No 2
何故か最後は Brahms を持ってきたよ。
p と el.b の2人だけの演奏。
この2人の演奏を聴いて一つ感じたのが、自らがbプレーヤーであるが故にバンドにおける b の役割を当然熟知している Richard の弾くピアノと、el.b をコード楽器として弾きこなす Jeff のプレイは似ているし、従って親和性がとても高いということ。
例えが余計わかりにくいかもしれないが、Stick 弾きが2人いるような感覚。
ちょっと新鮮な発見であった。

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