Soft Machine – Third(1970)

Canterbury Music の最重要バンド Soft Machine について書かれた書籍やBLOGは星の数ほどあるので、僕が書き加えることなんて何一つ無いのだが、もうすぐ6月も終わるので Moon in June を聴きたくなり、アルバムを聴きながら駄文を書いてみる。

Soft Machine は時期によりメンバーが大幅に変化する。本作時点のメンバーは、Mike Ratledge(org, p) / Hugh Hopper(b) / Robert Wyatt(ds, vo) / Elton Dean(as) というラインアップ。ゲストで、Lyn Dobson(ss, fl) / Jimmy Hastings(fl, b.cl) / Rab Spall(vln) / Nick Evans(tb) が参加している。
収録曲は4曲。そのどれもが10分を超える長尺だ。後の時代のプログレバンドが作る超大作のような目まぐるしい起承転結の展開を孕むロックではなく、フリーにゆるく始まり、テーマが提示され、じわじわとアンサンブルになっていくというジャズらしい展開。ただし、曲構成がとてもかっちり端正に作られているので、とても聞きやすく心地良い。

Tr.1 Facelift
この曲はライブ録音らしい。
ジャズ・ロックではあるが、ジャズの比重が高め。重厚で香り高い。電化したジャズに対抗する意識があったのだろうか。
終盤の逆回転サウンドが静かな狂気を思わせる。こういうところは少しロックを感じる。

Tr.2 Slightly All The Time
Elton Dean のsaxが朗々と吹き鳴らされ、もうこれはジャズの名盤レベルの演奏。で、そこに絡んでくるのが Mike Ratledge の歪ませたel.pやorgであるあたりがちょいとロックっぽい。
疾走していた曲調が8:00頃に変化し、Ratledge のシンプルでミニマルなel.pリフの上でssとorgのソロ。後の時代を先取りした新鮮なサウンド。
12:00から曲が変わって、ゆったりした Noisette に。16:00から再びアップテンポに切り替わり、畳み掛ける緊張感溢れるorgリフの上で Dean が吹く。

Tr.3 Moon in June
さてお待ちかね。これを聴きたかったのね。
org、ds、b の三位一体のコンパクトかつパーフェクトな演奏の上で、魂を揺さぶる Wyatt の vo 。そして高みに駆け上る Hopper の b ソロが素晴らしいよ。
後の時代にオルガン主体のジャズってのもたくさん登場してきたが、このオルガンの音そのものが懐かしい何かを想起させるような響きなので、まあズルいなあと思うのだ。僕が幼少期にオルガン教室に通っていたことも関係するかもね。ピアノってのは高度に発達した「機械」だが、オルガンってのは名前の通りなにか巨大生物の臓器みたいなもので、発音原理もとても原始的。まあハモンド・オルガンは一種の電子楽器みたいなもので、パイプに空気を吹き込んで鳴らしているわけではないのだけど、どことなく有機物みたいな音がするし、心地よい。
ああ、そして Wyatt の歌声よ。切々と、美しく、悲しく、吟遊詩人のように歌いかけるこの歌声無くしてこの曲は成立しない。高度で強靭なバンドアンサンブルと、この叙情的で優しい歌声の、奇跡のような組み合わせが、この曲の、そして本作の魅力だと思う。

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