Polandのプログレバンド。
2004年の1枚目から4枚目あたりまではPink Floyd愛溢れる音作りだったが、5枚目、6枚目と新境地を開き、益々の活躍を祈念していたところ才能溢れるギタリストPiotr君が若くして急死してしまう。で、驚くべきことに中心人物のMariusz君(vo)がgも担当してバンドを3人だけで継続し、7枚目としてリリースしたのが本作。
元々 Pink Floyd愛なバンドなので陰鬱な音世界なのだが、本作は世界が荒廃し、人々が嘆き悲しみもがく日々の中からいつか希望が生まれ、そして力強く生きていくという、 恐らくはPiotr君の急死 と、更に言えばPolandという国の歴史も踏まえた危機と再生を歌う内容となっている(ような気がする)。
聞く者の魂に深々と響く名作となった。
Tr.1 The Day After
Mariusz君の詠唱から本作は始まる。悲劇は突然起こる。意図せざるものであっても、単なるミスであっても、もう取り返しはつかない。
Tr.2 Acid Rain
ちょっと Dream Theater 的な趣も感じるハードな曲だが、Mariusz君の優しい声が乗るとしっとりして聞きやすい。3人で弾いているとは到底思えない音の分厚さ。もちろんスタジオワークの為せる業だとは思うが、ライブはどうするんだろうか心配になる。
Tr.4 Guardian Angel
銃声が鳴りやむと友人だった人々は地上から一掃され、他の者に占領されていた・・・というショッキングな歌いだしから始まり、ここでやりなおそう、私は再生の道を、鍵を知っているから、あなたと共に行こう・・・と終わる、 pとagとvo による静かで厳かな曲。幻想的に重ねられたegの音がU2のThe Edgeのようで効果的。
Tr.8 Wasteland
アルバムタイトル曲。フォルクローレ調のリズムとagで始まる。
その日が来た、君の呼ぶ声が聞こえる、また旅に出よう、残った魂をかき集めて・・・といった感じ。It’s time to get on the road は、bandが再び演奏活動を開始することかなとも思う。本当に辛かったんだろうね。
Tr.9 The Night Before
まず曲名がTr.1と呼応している。悲劇の一日を潜り抜けて、やがて夜を迎えるが、そこには安全な野営地がありもう大丈夫だから・・・と歌う。この安全地帯から僕たちはまた始める、以前の世界はもう戻ってこないけれど、でもここで僕たちは生きていく。pをバックにMariusz君が静かに詠唱する。この曲でPiotr君への鎮魂歌である本作は静かに幕を閉じる。
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