高校生の頃にFMでエアチェックして毎日聴いていた作品。
英国人の黒人音楽好きは有名らしい。Level 42は、Brit Funk (英国製ファンク)と呼ばれていたのだけど、チョッパーベースを弾いてファルセット(裏声)で歌う点では確かにそうなんだが、曲自体はまあそれほどファンキーという感じでも無く、Jazz Funk 風味の軽快な Fusion だ。ところが、EW&F の Larry Dunn がプロデュースした次作 Standing in the Light(1983) では結構真っ黒いファンクミュージック臭が出ているので、やっぱりモノホンのファンク野郎は違うなあと思った次第だ。
さて、本作でのメンバーは、Mark King(b, vo) / Mike Lindup(syn, p, el.p, vo) / Phil Gould(ds) / Boon Gould(g) / Wally Badarou(syn) という顔ぶれ。Gould の2名は兄弟。
Mark King のプレイの特徴は、何と言ってもその超高速スラップ(当時の呼び方ではチョッパー)だろう。b プレイそれだけを聴いても信じがたい程凄いことをやっているのだが、弾きながら歌うのだから人間業とは思えない。彼のソロ作 Influences(1984) の邦題が「インクレディブルファンクベース」と付けられたのだが、これは Wes Montgomery の The Incredible Jazz Guitar のモジリなのだろう。
もう一人の屋台骨、Mike Lindup はきれいなファルセットが持ち味。Jazzy な el.p プレイも上手い。
Tr.1 Weave Your Spell
古典的 Rock では、ギターリフが曲の骨格になっているものが多いが、この曲はうねる b フレーズが骨格になっている。ds は淡々と4つ打ち。これって意外と難しくて、ジャストタイミングで叩くと黒っぽくならないから、微妙に遅らせるいわゆるタメ打ちをする。因みにラテン色を出す場合には逆に前ノメリなタイム感(Chick Corea とか)になるのだが、これは蛇足だな。
Tr.2 The Pursuit of Accidents
さて、アルバムタイトルナンバーのインスト曲だ。
この曲での Mark の b が凄い。8分弱の曲全体にわたって、16ビートで延々と弦を親指で叩き続ける(サミング)。もちろん他の指で弦を引っ張り上げてバチンと離すプリングも取り混ぜながらだが。当時のファンクシーンなんかでも、見せ場で派手にチョッパーソロを弾くものの、後は普通に指弾きというスタイルが多かったと思うが、最初から最後までチョッパーで弾き続ける人は、他にいなかったんじゃないかな。(ブラザーズジョンソンとかいたかもね・・・)
Mark のプレイをずっと聞いていると、瞑想後のような澄んだ気持ちになってきて、時間経過を忘れる。ああ、ありがたや。
Tr.6 Eyes Waterfalling
スリリングに展開する軽快なフュージョン。Mark の b は相変わらず最高速をキープして爆走する。コード進行がドリーミーでちょっと切なく、次曲のムードに繋がる。
Tr.7 Shapeshifter
スペーシーなシンセのシーケンサーサウンドから始まるドリーミーで切なく素敵なインスト曲。Boon Gould が g で奏でるテーマが美しい。
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