Bill Laurance & Michael League – Keeping Company(2024)

米国の凄腕 Jazz Funk 大所帯バンド Snary Puppy の中核によるデュオの2作目。

Michael League は Snarky のリーダー。
エレキベースやシンセベースのぶっとい音でバンドサウンドをしっかり支えながら、バンド全体(30名を超えることも)を指揮して即興性の強い凄いアンサンブルを生み出す才人。
本作では、アコースティックベース(アップライトではなく横に構える系)も弾いているが、メインで使用しているのは彼らの前作 Where You Wish You Were(2023) と同様、ウードという名の中東の楽器。
Bill Laurance は Snarky のピアニスト。凄く端正で美しい音を奏でるイケおじ。作曲能力も凄い。

本作は2024年11月のリリースなんだが、僕は小まめにチェックしていなかったので気が付かず、今年2025年6月の彼等の Bluenote Tokyo 公演にて(Bill Laurance のMCにて)新作のことを知った次第。

Snarky Puppy では Michael がリーダーなので、MCもほぼほぼ彼がやるんだけど、このデュオでは Bill Laurance の比重が高いようで、MCも Bill がメインだった。
実は本作もほぼほぼ全部 Bill の作曲。
Bill が書くミニマルで透明度の高い曲に、Michael のウードが渋くてちょっとざらっとして魂に響く音色を加える。
そのコントラストがとても面白いよ。

Tr.1 Katerina
前作の La Marinada や、Sant Esteve みたいな感情を揺さぶる曲。
出だしはウードのソロ。
2分弱と短いが、ドラマを感じる美しくて切ない曲。

Tr.2 You
今度は Bill のソロから始まり、Michael のベースが加わる。
来日公演のときにも Bill が説明していたが、Snarky では多くの楽器で密度の高い音を出しているが、このデュオでは最小限の音数で敢えて隙間を多く残すようにしたとのこと。
仲良し二人の静かな会話(デュオローグ)みたいな作風になっている。

Tr.4 Escher
錯覚を起こす画で有名なエッシャーかな。
ややテクニカルで知的な曲。
ピアノも難しそうだけど、ベースがかなり大変そう。

Tr.5 How Does It Feel
ちょっと ECM 的な知的 Jazz が続いた後は、この南部の香りがするアーシーな Jazz へ。
Bill の曲であるし、参加メンバーも全然異なる(Michael 以外は)のだけれど、Bokanté の曲に通ずるものを感じるんだよなぁ。

Tr.11 Iki Keklik, Bir Kayada
アルバムの最後はトルコの民謡。
曲名の意味は、二羽の小鳥が一つの岩に留まっている様子らしい。
つまり二人は仲良しってことだ。
おっさん二人で、俺達は仲良しだぜ~って言うのも、昨今なかなか誤解されたり難しいかもしれないが、この才人二人の友情が紡ぐ音楽はとにかく素晴らしいので、是非今後とも末永く仲良く友情を育んでいただきたい。

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