イタリアのプログレって、マニアがひしめく底しれぬ魔窟のような印象があって、避けて通ってきた・・・というほどでは無いのだけど少し距離を置いてきたのが実情。
中でもこのバンド Premiata Forneria Marconi (P.F.M.) は、70年代初期から活動を継続している老舗中の老舗。
名前はもちろん昔から知っていたのだけど、アルバムを購入したのは今回が初めて。
何故、距離を置いていたはずのイタリアンプログレの作品を唐突に購入したのかというと、この老舗バンドに(2015年から)新メンバーが入ったから。
一人目は Marco Sfogli(g) だ。そう、Virgil Donati の In This Life(2013) や、IceFish の Human Hardware(2017) で目も覚めるような鮮やかなプレイを披露していた凄腕ギタリスト。
二人目は Alberto Brabin(kbd, vo) だ。そう、Big Big Train に、亡くなった David Longdon の後任ボーカルとして大抜擢された実力者。
この二人の活躍を聴きたくて本作を購入してみた次第。
で結論としては大満足。新メンバー2名の活躍も素晴らしいのだが、P.F.M. という老舗バンドの音楽そのものが素晴らしい。なんでこれまで避けてきたんだろ・・・。
Tr.1-1 We’re Not an Island
温かいkbdのフレーズをバックに、味わい深い Frantz Di Cioccio(vo, ds) のボーカルで曲が始まる。
ゆったりとしたリズム、比較的シンプルな曲構成、ここには変拍子も鬼のような転調も無いんだけど、何度か聴いているとじわじわとはまってくる。
6:04からお待ちかね、Marco Sfogli(g) が一閃鮮やかに切り込んでくる。ここだけ一瞬、ハイテクメタルフュージョンの香りが漂うが、かなり抑制的に弾いており、暖かくゆったりとした曲調のまま終わる。
お見事。
Tr.1-2 Morning Freedom
メインボーカルの Frantz Di Cioccio の声って、ほんとに良い声質だなあ。
で後ろでハモっているのが Alberto Bravin かな。
何気に Patrick Djivas(b, kbd) のベースも、複雑なフレーズは演奏していないのだけど存在感抜群で良い音。
3:20 から Marco のソロ。
とても短いのだけど効果的。
Tr.1-3 The Lesson
YouTubeにもこの曲の PV がアップされているよ。
本作の中では比較的テクノ寄りな曲。
でもあまり今風には聞こえない^^;。
3:00頃から、本作中では比較的長めの Marco のギターソロ。
アタック少なめのシンセ的なトーンで、立板に水が流れるような鮮やかな演奏。
ここだけは21世紀の音になっているな。
Tr.1-8 Freedom Square
のっけからポリリズムのドラムス。
ベースとギターが加わり3拍のトライバルっぽい感じから、キーボードが加わってもういかにもイタリアな世界へ。
そう南欧の祝祭感ってやつか。
バイオリンソロがかっこよろし。
これはライブで聴いてみたい。
Tr.1-11 It’s My Road
力強いタイトルだ。
この曲はバンドのアンサンブルが特に素晴らしい。
ギターの使い方とかとても勉強になる。
曲としてはフォーキーでシンプルなんだけど、何度聴いても新たな発見がある。
さすが老舗の実力ってやつか。
後半、Alessandoro Scaglione(p, kbd) の見事なピアノソロ。
おーっと驚いているうちに曲が終わる。
Tr.2-1 Il Regno
さてここから2枚目が続くのだが、なんと1枚目と同じ曲目を今度はイタリア語で歌うのだよ。
同じ曲でも、イタリア語の語感が乗ると少し異なって聴こえるのが面白い。
そしてついつい2枚目も最後まで聴き惚れることとなる。
いやあ、素晴らしいアルバムだね。
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