Prog Metal 界のスターが集うスーパーグループ Sons of Apollo(SOA) のスタジオ第二作。タイトルは、ローマ数字の”2020″だ。
何はともあれ、解散も脱退もせずバンドが同メンバーで継続していることを嬉しく思う。皆さん、複数の活動を抱えて超多忙だろうが、ときどき顔を合わせて発散して、何かを得てまた自身の活動に帰っていく、そんな場所になったら良いねえ。(それって Transatlantic のこと?)
SOAのメンバーは、Mike Portnoy(ds, perc, vo)、Billy Sheehan(b)、Derek Sherinian(kbd)、Ron “Bumblefoot” Thal(g, vo)、Jeff Scott Soto(vo) の5名。
なお、Mike と Billy は The Winery Dogs を並行営業中、Derek は Black Country Communion を絶賛営業中、そして Ron は何と老舗大店 Asia のセンターポジションに大抜擢と、皆さん経済的に余裕がある高齢者層に向けた営業活動(old school rock)もしっかり行っている。若い人はもうCD買わないからね。そっちの活動の反動(?)で、こっち(SOA)はバリバリの現代的 Prog Metal になるわけだ。そうやってバランスを取っているんだなあと感心する。
アルバム全体の印象だが、第一作に比べて随分音が整理された。全員・全力投球だった第一作は、それはそれで面白かったのだが、一般人には少し疲れる音楽だったかもしれない。本作では、予めきっちり構築され、全体にコントロールが効いた印象を覚える。曲作りは Derek がメインのようだが、彼のインタビューを読んでも、意識してバンドサウンドを打ち出すことに徹したようだ。
個人的には、相変わらずのコンプレッション多め、音圧ピーク張り付きっぱなしの音作りはそろそろ再考してもらいたいと思う。もうちょっとだけ、隙間を設けると聞きやすくなるんだけどね、特にシニアは。
Tr.2 Wither to Black
Zep 風のハードなリフ主体の曲。
1拍目のスネア打ちが疾走感を煽る。
ふと Derek が並行営業中の Black Country Communion なんかを想起するが、Mike のドラムは音も奏法も完全に現代的なので、古く懐かしきあの頃の音(old school rock)みたいな感じにはならない。SOAの方はそれで良いと思うよ。
Tr.3 Asphyxiation
ツインバスドラ連打で疾走感溢れる、SOAらしいかっこいい曲。
後半は、Dream Theater 的というか、テクニカル風味強し。
Tr.4 Desolate July
事故で亡くなった友に捧げられた曲。
導入部のアルペジオ、コード進行、悲壮な曲想、そして1:08でのバンド全員の入り方等から、Pain of Salvation の Ashes を強く連想した。
Tr.6 Fall to Ascend
前作に近いサウンド。Coming Home とか近いかな。
この曲での Mike の手数、半端ない。
Bumblefoot と Derek がユニゾンのキメを演奏しているときに、Mike と Billy がユニゾンに参加せず、しっかりと伴奏に徹しているあたり、バンドの進化を感じた。というか、それが普通なんだけどね。
Tr.8 New World Today
全6パートからなる Prog Metal 大曲。これはもう泣く子も黙るってやつね。
i)Ascension
Max Middleton作曲、Jeff Beckがソロgで参加・・・ みたいな感じ。(もちろんウソだよ)
これはもう絶対Derekの趣味丸出しだろう。Atlantisとか、あの手のSFチック Prog Metal 大作の音世界。大ケレン味。こういうの大好きだなあ。素晴らしい前奏曲。
ii)New World Today(01:45-)
これがメインパートの始まり。イントロのメインテーマは、まんま UK (のAlaska)な感じ。これもDerekの趣味でしょ、きっと。悲しいことに、耳が反応して嬉しがるのね。思う壺じゃないか。
そしてボーカルが入ると、いつものヘビー&ポップな曲調に。Mikeはこういうのが大好きなはず。コーラスもばっちり。
iii)Blind Tomorrow(05:53-)
昔の Dream Theater っぽい(Awakeの頃)ゴリゴリの Prog Metal。今回少し抑え気味の Billy のベースソロコーナーもばっちりあるよ。
iv)Adventures in Bumbleland(08:17-)
タイトルからは、おバカっぽい曲調を期待(?)したのだが、何とまあ Bumblefoot とMike のシリアスで凄まじいバトルだ。ちょっと Djent 成分も入り、これはライブで受けそう。
v)Day of the Dead(10:22-)
中東風の怪しいメロディーで、いかにも起承転結の転の曲。
Derek のgっぽいソロがたっぷり。その後に Bamblefoot の怪しいソロで、フレットレスgが大活躍。
vi)The New Reveal(12:43-)
ここでii)のUK風メインテーマが再び登場。
そして Jeff の力強いボーカルと胸躍るコーラスがこれでもかと盛り上げ、大団円で終わる。わかりやすい構成なんだけど、素直に素晴らしい曲だ。
コメント