
僕の大好きな英国プログレッシブ・ロックバンド Big Big Train の新譜がリリースされたのでご紹介。
タイトルは Woodcut だ。
多分、「木版画」の意味だと思うのだが、まだ歌詞を読み込んでいないので良くわからず。
メンバーは、前作スタジオリリースの The Likes Of Us(2024) とほぼ同じなのだが、脱退した Dave Gregory の後任で入ったギタリストの Dave Foster が抜けて、マルチ・インストゥルメンタリストの Rikard Sjöblom が全てのギターソロを弾いているようだ。
まあこのバンドは、長々とギターソロを聴かせるような曲は作らないし、Rikard は十分に上手なので何の問題も無いんだが、ライブでどうするのかな?とはちょっと心配するところ。
(彼はギターをぶら下げてキーボードを弾き歌うのだよ)
それよりも、前作からの最も大きな変更点は、曲作りとプロデュースが Alberto Bravin を中心に行われたこと。
これまでは、最後のオリジナルメンバーであり、事実上のリーダーとも言える Greg Spawton(b) が、アルバムのコンセプトメイキング・作曲・プロデュースを中心的に担ってきた。
この変化については、Greg がインタビューに答えていて、Alberto はBBTの歴史と伝統を良く理解したうえで大変な重責を担ってくれた、良き後継者ができて嬉しいみたいなことを言っている。
Greg Spawton まで脱退しちまったら悲しいので、今後も Alberto Bravin を支えて頑張っていただきたいものだ。
一応メンバーをご紹介する。
Bass, Pedalboard, 12-String Acoustic Guitar, Mellotron, Vocals – Gregory Spawton
Drums, Percussion, Keyboards, Acoustic Guitar, 12-string Electric Guitar, Vocals – Nick D’Virgilio
Grand Piano, Electric Piano, Electric Piano, Electric Organ, Mellotron, Synthesizer, Vocals – Oskar Holldorff
Guitar, 12-string Electric Guitar, Electric Organ, Vocals – Rikard Sjöblom
Lead Vocals, Acoustic Guitar, Electric Guitar, Keyboards, Synthesizer, Mellotron – Alberto Bravin
Violin, Acoustic Guitar, Vocals – Clare Lindley
Trumpet, Piccolo Trumpet, Vocals – Paul Mitchell
Cello – Brian Mullan
Clarinet, Alto Flute – Maddie Wegg
以下、曲のご紹介。
Tr.2 The Artist
Greg と Alberto による弦とクラリネットの素敵な小品 Inkwell Black に続いてこの曲が始まる。
もうまったくいつものBBTらしい英国調の憂いに満ちた素敵な曲なので安心なんだが、作曲は Alberto Bravin と Rikard Sjöblom の2人だ。つまり Greg 抜きで作った曲。
では Greg は何をしているかというと、リッケンバッカーみたいな存在感あるサウンドのベースで、全ての真ん中に位置しているような素晴らしいプレイをしているよ。
音色もフレーズも、ちょっと Chris Squire リスペクトな感じだ。
Tr.3 The Lie of the Land
続くこの曲は、作詞が Greg で、作曲は Alberto, Rikard, Greg の3人。
BBTは幾度ものメンバー交替と拡張を経て素晴らしい楽曲を送り出してきたバンドなんだが、昔からのファンを裏切らない上手な変化の仕方をするなあと感じる。
Tr.4 The Sharpest Blade
紅一点の Clare Lindley が作詞・作曲(作曲は Rikard と Nick との共作)し、メインボーカルも担当している。
ちょっとケルト民謡みたいなニュアンスもある美しい曲なんだが、Clare のアンニュイなボイスがなかなか魅力的。
今回のアルバムでは、Clare Lindrey の作詞への参加が目立つ。
Tr.5 Albion Press
Greg / Alberto による疾走感ある曲。
Nick の暴れん坊ドラムと、それを煽るホーンセクションの応酬が物凄い。
インスト曲かと思いきや、2分半くらい過ぎてから歌が始まる。
Tr.8 Warp and Weft
Nick D’Virgilio の作詞・作曲による7拍子のスリリングな曲。
2:00頃からの4声(?)でのボーカル掛け合いは、何だか Spock’s Beard でも聞いた気がするな。
Tr.9 Chimaera
Greg の作詞・作曲。
ここまで演奏してきた収録曲のタイトルが織り込まれて歌われる。
そして、ページをめくるとか、新たな道を見つけたとか、つまり(若いメンバーに主導権を渡した形での)バンドの新たな出発についても歌われている・・・ような気がするな。
Tr.15 Counting Stars
Greg / Alberto による曲。
夏から秋を迎えた英国の自然風景から始まり、夜空へ。
そして天と地、巡る季節に想いを馳せる。
やっぱりね、Greg Spawton が書くこういう詞が大好きなんだよな。
Tr.16 Last Stand
Greg / Alberto / Lindley / Rikard によるエンディング曲。
歌詞は抽象的でわかりづらいが、両極論に分断された不安定な世情の中を希望を失い惰性で生きる毎日を戒め、自ら新たな日々を作り出していくことの尊さを歌っているようだ。
同じようなことを The Tangent の Andy Tillison が歌うと毒舌親父のアジテーションソングになってしまう(まあそれも楽しいんだけどね)ところを、BBTが作るとこんなに情熱的かつ上品に仕上がるんだなぁ。

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