Marc Johnson – Bass Desires(1985)

Marc Johnson のリーダー作というよりもバンド名義の第一作という位置づけか。
Marc Johnson (b) と Peter Erskine (ds) による汗臭く無く知的なんだけどアグレッシブなリズム隊の上に、John Scofield の変態ギターと、それを上回る Bill Frisell のど変態ギターという驚きの構成。これだけの自己主張が強い変態巧者が集って、それで曲が完璧にまとまるところが、超一流の証拠。
もともとは Scofield にはまってCDを買いあさっていた時代に巡り合った1枚なのだが、 Frisell が加わることによる Chemistry にただただ驚き、愛聴の1枚となった。

Tr.1 Samurai Hee-Haw
Marc Johnson がライブ等で良くやる曲。サムライといいつつ中国風のペンタトニックフレーズがモティーフなのは日本人的にはやや苦笑。

Tr.2 Resolution
ご存知 Coltrane の至高の名曲である。イントロは Johnson の陰鬱なベースソロで始まる。そこにまず Erskineのリズム、続いて Scofield と Frisell のユニゾンによるテーマが切り込み、で、そのあとの(2:00あたりから) Frisell のコード攻撃に度胆を抜かれた。な、な、なんなんだこのペンキぶっかけアートのようなサウンドは。初めてこのCDを聞いたときの驚きを今でもはっきりと覚えている。およそ通常のギター弾きには発想もできない謎のサウンド。ギターシンセではなく、ディレイ系のエフェクタを何種類かにボリュームペダル等を組み合わせただけの比較的簡単な仕掛けらしいのだが、出音は恐ろしいほど革新的。曲中の効果はマイルスがステージで遊び半分?に鳴らすシンセの不協和音にも通じるものを感じるが、それよりもはるかに確信犯的。5:10あたりから Frisell のソロもあるのだが、もう完全に音世界を支配してしまっている。恐るべし・・・。
9:00 あたりで Johnson の陰鬱なベースソロに戻りつつも、背後で皆勝手におどろおどろしいサウンドスケープを展開。で最後は鐘と念仏みたいな雰囲気で終了。なんで至上の愛が怪談調になっちまうんだろうか。でも雰囲気合ってるなあ。

Tr.3 Black Is the Color of My True Love’s Hair
アメリカの Trad な Folk Song らしい。Frisell の、浮遊感溢れる美しい g を堪能。

Tr.4 Bass Desires
この曲はいいねぇ。Erskine と Johnson が。4人の気迫に満ち満ちたインタープレイ。中でも、いつものシンバル巧者ではなくタイコ系をドコスカ叩きまくる Erskine の出音に殺気を感じる。g の二人がお互いにプレイスタイルを真似っこしつつ?不思議な世界にまったり行ってしまっているので、余計に ds の殺気振りが目立つ。

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