Uncle Moe’s Space Ranch – Uncle Moe’s Space Ranch(2001)

テクニカル・フュージョン界のスターミュージシャンを集めて好き勝手にやらせたら、ど変態な1枚ができました。レーベルは Tone Center 。ヘビメタ速弾きを集めて一山当てた Mike Varney が、今度はフュージョン界で同じことを企んで立ち上げた(?)レーベルである。
面子を書くと、Brett Garsed(g)、T.J. Helmerich(g) 、 Gary Willis(b) 、 Scott Kinsey(kbd) 、 Dennis Chambers(ds) ってな顔ぶれ。Tr.4だけ Virgil Donati がゲスト参加している。あーもう、名前だけで買っちゃうでしょ。
Brett と T.J. は盟友、Gary と Scott も Tribal Tech の仕事仲間、さて Dennis はどこ繋がりなのか不明だが、でもど変態でメカニカルなプレイが多い中で Dennis の人間臭いファンキーな ds が加わっていることで全体の品質が向上している気がするから大正解でしょう。
各曲は、まあ曲というよりも各人が順番にソロ回しする間をテーマのユニゾンで繋げたセッション風の作りのものが大半。なので、怪獣対決映画のように皆さん御贔屓の怪獣が登場して暴れる様を応援しつつ聞くのが楽しい。

Tr.1 Colliding Chimps
本作で曲名にどこまで意味があるのかわからんが、怒れるチンパン君どうしが道端で因縁つけてタイマンを始める様であろうか。
何やらドラマチックな導入部から、最初は Brett の、いつものレガートではなく短めの音でコンパクトなソロ。続いて Gary の変音だらけの変態ソロ、もはや g とは思えない T.J. の変態ソロ、Zawinul がイタコで降りてきたいつもの Scott のソロ、最後は重戦車のような Dennis のソロと、もうみんな好き勝手にやって終わる。

Tr.2 tjhelmerich@earthlink.net
曲名は T.J. のメアドであろうか。そんな投げやりな・・・。
曲全体は Scott Kinsey 色が強い。うっすらとサンプリング女性ボイスが鳴り、いつもの Zawinul な感じ。
最初のソロは T.J. なんだが、これ凄いよ~。Wharmy ペダルだと思うが、もう g とは思えない変な音で、g とは思えない変なフレーズを弾いている。だったら別に g でやらなくてもいいんじゃない。最初は Scott のシンセかと思ったわ。続いて Gary のややまともな b ソロ。そこに Brett のややまともな g ソロが続きダイナミックに曲が展開、やっぱ上手いなあと聞き惚れる。最後は Scott が引き取り、またちょっと異界を見せつつ終わる。

Tr.3 Swarming Goblets
曲前半はほとんど Brett のソロ。軽く歪ませたクリーンなトーン。本当に上手い。後半に T.J. のややまともなソロがあるので、比べて聞くのも面白い。

Tr.4 SighBorg
曲名が最高。なんか性能悪そうなサイボーグにみんなため息。「がっかりボーグ君」とかそんな感じか。
エレクトロニクス係が1名ゲスト参加して、D&B 的なモダンな(?)曲。
後半、Scott のソロの後 Dennis の dr ソロが入り、その後ゲストの Virgil Donati一人だけの dr ソロパート。ぶち壊れ感が凄い。ボーグ君全壊。

Tr.8 A Thousand Days
Brett らしい明るく雄大な曲調の曲。ソロ回しではなく、本作では稀有なちゃんとした一つのまともな曲だ。延々と変態プレイが続いた怪獣対決も、エンディングロールくらいは美しくキメたいよね。前半が Brett のスライドを使った超絶技巧的ソロ、終盤近くに T.J. の両手タッピングソロ。しみじみと美しいなあ・・・。
・・・でこのまま素直に美しく終わることができないのが、この人たちのお馬鹿さんなところで、しばらくの無音区間の後、隠しトラックとしてトホホな曲(?)がしかも2曲(?)も入っている。もー、子供じゃないんだから。ちゃんとやりなさい。(uncle もー)

コメント